ケイ酸カルシウム

ケイ酸カルシウム：多様な用途を持つケイ酸塩

ケイ酸カルシウムは、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、水などを様々な比率で含むケイ酸塩鉱物の総称です。別名ケイカルとも呼ばれ、石灰石や珪藻土などを原料として製造されます。人体への悪影響がないため、食品添加物としても認められています。

ケイ酸カルシウムの特徴

ケイ酸カルシウムは、低密度で吸湿性に優れている点が大きな特徴です。この特性から、様々な分野で活用されています。主な特徴は以下の通りです。

低密度: 軽量な素材として利用できます。
吸湿性: 空気中の水分を吸収する性質があります。
防火性: 火災に対する抵抗性が高いです。
安全性: 人体への影響が少なく、食品添加物としても使用可能です。

ケイ酸カルシウムの化学組成

ケイ酸カルシウムには、様々な化学組成が存在します。代表的なものとして、ケイ酸二石灰(Ca₂SiO₄)、ケイ酸三石灰(Ca₃SiO₅)、3CaO・SiO₂、Ca₃SiO₅・2CaO・SiO₂、Ca₂SiO₄、3CaO・2SiO₂、Ca₃Si₂O₇、CaO・SiO₂、CaSiO₃などが挙げられます。Ca₂SiO₄にはα、αH、αL、β、γの5種類の結晶構造があり、常温ではγ相が安定しています。

ケイ酸カルシウムの用途

ケイ酸カルシウムは、その特性を活かして幅広い用途に使用されています。

食品分野

日本では2008年に食品添加物として指定され、主に固結防止剤や製造用剤として利用されています。世界保健機関(WHO)の食品添加物合同専門委員会は、1970年に二酸化ケイ素及びその他のケイ酸化合物の1日摂取許容量を特定しないとの評価を出しています。

建材分野

アスベストの代替素材として、耐火性と断熱性に優れた建材（ケイカル板など）に使用されています。しかし、アスベスト含有製品の存在も確認されているため、古い建材には注意が必要です。

肥料分野

水稲などのケイ酸を好む植物への肥料として効果を発揮します。葉茎を強化し、光合成の促進、登熟の促進、吸水性の向上などの効果が認められています。さらに、いもち病などの病害抑制効果も期待できます。いちごのうどんこ病に対する抑制効果も報告されています。

その他

鉄鋼生産時の残渣であるスラグにもケイ酸カルシウムが多く含まれており、有害物質を含まない場合は肥料などに再利用されています。

ケイ酸カルシウムに関する注意点

古いケイカル板などにはアスベストが含まれている可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。アスベストは健康被害を引き起こす可能性のある物質であり、適切な処理が必要です。

まとめ

ケイ酸カルシウムは、その多様な特性から、食品、建材、肥料など幅広い分野で利用されている重要な物質です。安全性と多機能性を併せ持つ一方で、古い建材におけるアスベスト混入の可能性には注意が必要です。

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