ケニー・G

ケニー・G：スムーズジャズの巨匠

ケニー・G（Kenny G、本名ケネス・ゴアリック）は、アメリカを代表するジャズサックス奏者です。1980年代から現在に至るまで、スムーズジャズの第一人者として世界中で愛されています。特にアリスタ・レコード時代には数々のヒット作をリリースし、その名を不動のものとしました。

経歴

ワシントン州シアトルでユダヤ系の家庭に生まれたケニー・Gは、幼少期から音楽に親しみました。母親からサックスを与えられ、グローヴァー・ワシントン・ジュニアなどの奏法を独学で学んだといいます。学生時代にはバンド活動を行い、17歳でバリー・ホワイトのバックバンドに参加し、プロとしてのキャリアをスタートさせました。ワシントン大学卒業後は、ジェフ・ローバー・フュージョンに加入し、2枚のアルバムに参加しました。

1982年、アリスタ・レコードからソロデビュー。以降、数多くのソロアルバムを発表する傍ら、ホイットニー・ヒューストン、ナタリー・コール、マイケル・ボルトン、アレサ・フランクリンなど、ジャンルを超えた様々なアーティストと共演しています。

1987年にリリースされたアルバム『デュオトーンズ』からのシングル「ソングバード」は、ビルボードのポップチャートで4位を記録。インストゥルメンタル曲としては異例の大ヒットとなりました。1992年にはアルバム『ブレスレス』が全米2位を獲得し、収録曲「フォーエヴァー・イン・ラヴ」は1994年のグラミー賞で最優秀インストゥルメンタル作曲賞を受賞しました。

ギネス記録と新たな挑戦

ケニー・Gは、その演奏技術でも注目を集めました。1997年には「最も長いロングトーンを出すサックス奏者」として、1999年には「累計アルバム売上枚数が最も多いジャズアーティスト」として、それぞれギネスブックに掲載されています。

2008年には長年所属したアリスタ・レコードを離れ、コンコード・レコードに移籍。ラテン音楽に挑戦したアルバム『ロマンスの足おと』を発表し、新たな音楽性を開拓しました。2010年のアルバム『ハート・アンド・ソウル』では、ロビン・シックやベイビーフェイスといったゲストボーカリストを迎え、さらに幅広い音楽ファンにアピールしました。

音楽性と評価

ケニー・Gの音楽は、そのポップで親しみやすいサウンドから、スムーズジャズの代表的な存在として広く受け入れられています。しかし、その一方で、ジャズ puristからは「ジャズではない」という批判も存在します。ルイ・アームストロングの楽曲にオーバーダビングした際には、パット・メセニーなどの著名なジャズミュージシャンから厳しい批判を受けました。

賛否両論があるものの、彼の音楽が多くの人々に愛され、数々の記録を打ち立てたことは紛れもない事実です。その功績と音楽性から、ケニー・Gは「別格」と評されることもあります。

エピソード

日本のテレビ番組『さんま・玉緒のお年玉あんたの夢をかなえたろかスペシャル』では、急性骨髄性白血病で父親を亡くした女子高生の「ケニー・Gと一緒に演奏したい」という夢を叶える企画が実現しました。契約上の理由から共演は叶いませんでしたが、彼の前で演奏を披露し、その演奏にケニー・Gも感銘を受けました。お返しに、依頼者とその家族に「夜霧よ今夜も有難う」を演奏しプレゼントしました。

ディスコグラフィー

シティ・ライツ (1982)
G・フォース (1984)
愛のめざめ (1985)
デュオトーンズ (1986)
シルエット (1988)
ブレスレス (1992)
ミラクルズ (1994)
ザ・モーメント (1996)
クラシックス〜キー・オブ・ケニー・G (1999)
フェイス (1999)
パラダイス (2002)
ウィッシズ (2002)
デュエット (2004)
ムード・フォー・ラヴ (2007)
ロマンスの足おと (2008)
ハート・アンド・ソウル (2010)
ナマステ (2012)
ブラジリアン・ナイツ (2015)

映像作品

ケニー・G/ライブ (1990)
ロマンスの足おと〜Rhythm & Romance コンサート 2008 (2009)
* ライヴ・アット・モントルー1987/1988 (2010)

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