ケネス・メイソン

ケネス・メイソン：探検と地図製作に生涯を捧げた地理学者

ケネス・メイソン（Kenneth Mason MC、1887年9月10日 – 1976年6月2日）は、軍人、地理学者として、その生涯を地図製作と地理学の発展に捧げました。特にヒマラヤ山脈の測量調査における貢献は大きく、オックスフォード大学初の地理学教授としても知られています。

生い立ちと地理学への目覚め

メイソンは、サリー州サットンで材木商の息子として生まれました。幼少期にフランシス・ヤングハズバンドの著書に感銘を受けたことが、地理学への情熱を燃やすきっかけとなり、後のインドやヒマラヤ山脈での測量調査へと繋がりました。チェルトナム・カレッジ、王立陸軍士官学校を経て陸軍工兵隊に配属され、そこで3次元写真技術の開発に関わったことが、後の地図製作技術の革新に繋がりました。

インドでの測量活動

1909年、メイソンはインド測量調査所に配属され、カラチに赴任しました。1910年から1912年にかけてはカシミール地方で三角測量に従事し、登山技術を習得するとともに、スキーも独学で学び、立体的な測量調査を行いました。これらの経験は、彼の測量家としての基礎を築き上げました。

結婚と私生活

1917年、ドロシー・ヘレン・ロビンソンと結婚し、二男一女をもうけました。また、メイソンはドレイパーズ・カンパニーにも深く関わり、1949年には会長を務めました。

第一次世界大戦での軍歴

1914年、第一次世界大戦が勃発すると、メイソンはフランスへ派遣され、ヌーヴ・シャペルやルースの戦いに参加しました。その後、イラクのバスラに赴き、ドゥジャラー砦の側面を狙う夜間行軍を指揮し、その功績によりミリタリー・クロス（武功十字章）を授与されました。情報士官としてバグダッドにも入城し、名誉少佐に昇進、3度にわたり上官の報告書に名前が挙げられました。休戦後は、シリア砂漠を自動車で横断するという功績も残しました。

カラコルム回廊の探検と地図製作

第一次世界大戦後、メイソンはインドに戻り、カラコルム回廊（シャクスガン渓谷）の探検という、彼の最も重要な科学的課題に取り組みました。この地域は当時、ヤングハズバンド以外には西洋人が足を踏み入れたことがない場所でした。メイソンは写真セオドライトを用いた立体像技術を活用し、膨大な量のデータを収集しました。その成果はスイスに持ち込まれ、当時最先端の立体プロット機器によって詳細な地図が作成されました。この功績により、メイソンは1927年に王立地理学会から金メダル（創立者メダル）を授与されました。

オックスフォード大学での教育と研究

1932年、メイソンはオックスフォード大学に新設された地理学教授の初代教授に就任しました。彼は『Himalayan Journal』を創刊し、カラコルム地方の山稜名称に関する通説に挑戦するなど、精力的に研究活動を行いました。1940年には、イアン・フレミングとジョン・ヘンリー・ゴドフリー海軍少将から、軍事作戦に関連する地理報告書の作成を依頼され、この報告書が後の『Naval Intelligence Division Geographical Handbook Series』の基礎となりました。このシリーズでは、オックスフォードの学者たちを率いて世界最大級の地誌記述プロジェクトを指揮しました。

引退と晩年

1953年、メイソンはオックスフォード大学を退職しましたが、その業績は今日まで高く評価されています。

主要な著作

* Abode of Snow (1955)

ケネス・メイソンは、測量、探検、教育、そして研究を通じて、地理学の発展に多大な貢献をしました。彼の生涯は、探求心と知的好奇心に満ち溢れており、後世の地理学者たちに大きな影響を与え続けています。

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