ケプラー20c

ケプラー20c

ケプラー20cは、地球から遠く離れた宇宙に位置する太陽系外惑星の一つです。こと座の方向に約900光年の距離にある恒星、ケプラー20Aの周囲を公転しています。主星であるケプラー20Aは、私たちの太陽と比較してやや小型のG型主系列星であり、ケプラー20という連星系の一部を構成しています。このことから、ケプラー20cは「ケプラー20Ac」と呼ばれることもあります。

発見とその経緯

この惑星の存在が明らかになったのは2011年です。NASAが運用していたケプラー宇宙望遠鏡による観測データの中から発見されました。ケプラー宇宙望遠鏡は、多数の恒星を継続的に観測し、惑星が主星の手前を通過する際に起こるわずかな明るさの低下（トランジット）を捉えることで系外惑星を探査するミッションを担っていました。ケプラー20cも、このトランジット法によって発見された惑星の一つです。特筆すべきは、その発見が、同じ主星ケプラー20Aの周囲を回る他の四つの惑星（ケプラー20b、ケプラー20d、ケプラー20e、ケプラー20f）と同時に発表されたことです。これは、一つの恒星系に複数の惑星が存在することを示す重要な事例となりました。

物理的な特徴

ケプラー20cの物理的な性質については、その後の研究によって詳細が判明しています。特に、2023年に公表された研究成果は、この惑星の質量と半径に関してより精緻な推定値を提供しました。それによれば、ケプラー20cの質量は地球の約11倍、半径は約2.9倍であるとされています。これらの数値は、地球のような岩石惑星と、木星や海王星のような巨大ガス惑星の中間に位置する規模を示しています。そのため、ケプラー20cは「サブ・ネプチューン」と呼ばれるカテゴリーに分類される惑星であると考えられています。サブ・ネプチューンは、太陽系には見られないタイプの惑星であり、その内部構造や大気の組成など、未解明な点が多く残されています。

軌道の性質

ケプラー20cは、主星ケプラー20Aの非常に近くを公転しています。その公転周期は驚くほど短く、わずか10日余りです。これは、私たちの太陽系における水星の公転周期（約88日）よりもはるかに短い期間であり、主星から非常に近い距離にあることを示しています。このような短い公転周期を持つ惑星は、「ホット・スーパーアース」や「ホット・ネプチューン」と呼ばれることが多いですが、ケプラー20cはその質量と半径からサブ・ネプチューンとして位置づけられています。主星に近い軌道であるため、表面温度は非常に高いと推測され、私たちが知る地球のような生命が存在するには過酷な環境であると考えられます。

ケプラー20cを含むケプラー20系は、一つの恒星系に複数の多様な惑星が存在する事例として、系外惑星系の形成や進化を理解する上で重要な研究対象となっています。特に、地球型惑星に近いサイズの惑星（ケプラー20eやケプラー20f）と共に、サブ・ネプチューンであるケプラー20cが存在することは、惑星系の多様性を示す好例と言えるでしょう。

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