ケプラー20

ケプラー20

ケプラー20（Kepler-20）は、地球からおよそ900光年（約290パーセク）の距離に位置する、こと座の方向にある恒星系です。この系は、二つの恒星からなる連星系であり、その主星の周囲には、少なくとも五つの太陽系外惑星が確認されています。

特徴

主星であるケプラー20Aは、質量・半径ともに太陽の約9割程度の大きさを持つ恒星で、スペクトル分類においてはG5V型G型主系列星に分類されます。表面温度はおよそ5,495K（約5,222℃）と、太陽よりやや低い温度です。地球から観測した際、その見かけの明るさは12.6等級と極めて暗く、肉眼で捉えることはできません。観測には口径15cm以上の望遠鏡が必要になります。この恒星の年齢については大きな不確実性がありますが、現在のところ太陽よりも古い恒星である可能性が示唆されています。

2024年には、欧州宇宙機関（ESA）のガイア計画による観測データを用いた研究により、主星から約3.8秒角離れた位置に伴星が存在することが明らかになりました。この伴星はケプラー20Bと名付けられ、従来の主星はケプラー20Aと呼ばれることになりました。ケプラー20Bは太陽の約2割の質量を持つM3V型の赤色矮星と推定されており、主星ケプラー20Aからは射影距離にして約1,085天文単位（およそ1,623億キロメートル）という非常に遠い距離に位置しています。

惑星系

この惑星系は、アメリカ航空宇宙局（NASA）のケプラー宇宙望遠鏡が、恒星の手前を惑星が通過する際の明るさの変化（トランジット）を観測することによって、2011年に主星ケプラー20Aの周囲を公転する五つの太陽系外惑星として確認されました。

これらの惑星が持つ最大の特徴は、主星に近い軌道から順に、大型（ケプラー20b）、小型（ケプラー20e）、大型（ケプラー20c）、小型（ケプラー20f）、大型（ケプラー20d）と、惑星の規模が大小交互に並んでいる点です。このような配置は、太陽系では見られないものであり、惑星が形成された原始惑星系円盤内で、円盤物質との相互作用によって惑星が軌道を変える、いわゆる惑星移動が起きた可能性を示唆しています。

五つの惑星のうち、ケプラー20e（主星から2番目）とケプラー20f（主星から4番目）は、地球とほぼ同等の大きさを持つ岩石質の地球型惑星と考えられています。特にケプラー20eは、発見当時、半径が地球の約0.87倍と測定され、それまでに見つかっていた太陽系外惑星の中で最も小さく、地球より小さい惑星として初めて確認されたことで注目を集めました。それ以前の最小記録であったケプラー10bの半径は地球の約1.5倍でした。ケプラー20fの半径も当初は地球とほぼ同じ約1.03倍とされましたが、その後の研究では地球よりわずかに小さい可能性が指摘されています。

しかし、これらの惑星は主星に非常に近いため、表面の平衡温度はそれぞれ約1,004K（約731℃）と約681K（約408℃）に達します。主星からのエネルギー放射も地球のそれぞれ約170倍、約36倍と非常に強く、液体の水が存在するような環境ではなく、少なくとも地球型の生命が存在するには過酷な世界と考えられています。残りの三つの惑星、ケプラー20b、ケプラー20c、ケプラー20dは、地球と海王星の中間程度の大きさを持つ惑星です。

なお、2016年の研究では、ケプラー20fとケプラー20dの間を公転する新たな惑星、ケプラー20gが発見されたと報告されました。この惑星はトランジット法ではなく、主星のわずかなふらつきを捉えるドップラー分光法によって検出が試みられ、その下限質量は地球の約20倍と推定されました。しかしながら、その後の観測により、ケプラー20gの存在については懐疑的な見方が示されています。2019年や2023年の研究では、この惑星の存在を示す明確な信号が検出されなかったことが報告されており、その実在は不確実な状況にあります。

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