ケベス

ケベス：ソクラテスの友人にして哲学者

ケベスは、紀元前5世紀から4世紀にかけて生きた、テーバイ出身の古代ギリシャ哲学者です。プラトンの著作やクセノポンの記録から、ソクラテスと非常に親しい関係にあったことが明らかになっています。彼の名前は、ソクラテスの生涯や哲学を理解する上で欠かせないものとなっています。

プラトン作品におけるケベス

プラトンの代表作『パイドン』において、ケベスは重要な登場人物として描かれています。ソクラテスが死刑を宣告された日、彼は親しい友人シミアスと共にソクラテスを訪ね、死後の世界、すなわち魂の不死について深く議論を交わします。この問答は、プラトンの哲学における重要な論点の一つであり、ケベスの知性と洞察力が存分に発揮されています。

さらに、『パイドン』の中で、ケベスとシミアスが以前、ピュタゴラス派の哲学者ピロラオスに師事していたことが明かされています。この事実は、ケベスの哲学的思考にピュタゴラス主義の影響があったことを示唆しており、彼の思想体系を理解する上で重要な手がかりとなります。

プラトンの『クリトン』にもケベスの名前が登場します。ソクラテスの脱獄を提案するクリトンに対し、ケベスはシミアスと共に、脱獄を助ける意思と経済力を持つ人物として言及されています。これは、ソクラテスがいかに多くの友人や知人に慕われていたかを示す一例です。また、『第十三書簡』でも、シミアスと共に言及されており、ソクラテスとの深い関係が改めて強調されています。

クセノポン作品におけるケベス

クセノポンの『ソクラテスの思い出』にもケベスは登場し、クリトン、ヘルモゲネス、カイレポン兄弟、そしてシミアスらと共に、ソクラテスの親しい友人として記されています。この記述は、ケベスがソクラテスの周辺で重要な役割を果たしていたことを裏付けるものです。特に、第1巻第2章と第3巻第11章において、彼の名前が見られることから、ソクラテスとの交流が継続的にあったことが推測されます。

ケベスの著作

ディオゲネス・ラエルティオスの『ギリシア[[哲学者列伝]]』によれば、ケベスは『ピナクス (書き板/画板)』、『第七日』、『プリュニコス』の3篇の対話篇を著していたと伝えられています。これらの著作は現存していませんが、その存在は、ケベスが単なるソクラテスの友人ではなく、独自の哲学的思考を持つ哲学者であったことを示しています。残念ながら、これらの著作の内容についてはほとんど何も分かっていません。今後の研究によって、ケベスの哲学思想がより明らかになることが期待されます。

結論

ケベスは、プラトンやクセノポンの著作を通して、ソクラテスの親友として、そして独自の哲学的思考を持つ哲学者として知られています。魂の不死に関する議論への参加や、ピュタゴラス派との関わり、そして彼自身の著作の存在は、古代ギリシャ哲学史におけるケベスの重要性を示すものです。今後の研究によって、彼の哲学思想がより詳細に解明されることが期待されます。

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