ケルマーン州

ケルマーン州の概要

ケルマーン州（ペルシア語: استان کرمان‎, ラテン文字転写: Ostān-e Kermān）は、イラン南東部に広がる州で、州都は同名のケルマーン市です。この州は広大な面積を有し、イランの州の中で3番目に大きいものです。ケルマーン州は豊かな歴史と多様な文化を持つ地域であり、約320万人が住んでいます。

歴史的背景

ケルマーンの地域には紀元前4千年紀から人々が定住していたことが記録されています。この地域はイランでも特に歴史が古く、多くの歴史的遺跡が残されています。特にジーロフト文化は代表的なもので、考古学的な調査により紀元前2500年頃に遡るとされています。歴史的な文献には、「カルマニア」や「ケルマニア」といった名称が見られ、これらはこの地域を指す古代の呼称と考えられています。

7世紀中頃には、アラブ軍がこの地域を征服し、以降イスラム帝国の一部となりました。その後、セルジューク朝やオグズの侵略を経て、ケルマーンは様々な王朝の支配下に置かれました。12世紀末までに、多くの戦闘や政権交代を経て現在の歴史へと続いていきます。この地はまた、自然災害にも見舞われており、2003年のバム地震では著名なアルゲ・バムが大きな被害を受けました。

地理と気候

ケルマーン州は、イラン中央部の山脈が形成する地形によって特徴づけられています。州内にはいくつかの高山があり、最も高いのはヘザール山で、海抜4,465mに達します。また、州の大部分はおおむね砂漠地帯ですが、オアシスも点在し、ナツメヤシやオレンジなどの農作物が栽培されています。

気候に関しては地域によって異なり、北部は乾燥して穏やか、一方南部はやや湿気のある温暖な気候です。特にケルマーン市近郊は穏やかな乾燥気候となり、旅行に最も適した季節は4月から7月です。

行政区分

ケルマーン州は多数の郡（シャフレスターン）に分かれています。主要な郡には、バーフト郡、バム郡、ジーロフト郡、ケルマーン郡などがあり、各郡が地元の行政や文化の中心となっています。

住民と文化

州内の住民は多様で、1996年のデータでは、都市部に52.9%、農村部に46%が居住しています。ケルマーン市は地域の中心都市で、約40万人の人口を抱え、州の経済・文化の中心として機能しています。話される言語には、ペルシア語の他、テュルク語やバルーチ語も含まれ、文化的な多様性が見られます。

経済と観光

ケルマーン州は観光産業が盛んで、温泉や自然保護区、考古学的な遺跡などが観光客を惹きつけています。特にアルゲ・バムは2千年以上にわたり保存されてきた重要な遺跡です。また、州内には293ヵ所の文化遺産が登録されています。

さらに、ケルマーン州はイランの自動車産業の一大中心地でもあり、シールジャーンには経済特別区が設けられ、地域経済の基盤となっています。鉱業も行われており、代表的なものとしてサルチェシュメ鉱山があります。

このように、ケルマーン州は歴史、文化、自然環境と産業が交わる多面的な地域であり、訪れる者に深い印象を与えています。

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