ケヴィン・メア

ケヴィン・K・メアについて

ケヴィン・K・メア（Kevin K. Maher）は、1954年 8月21日生まれのアメリカ合衆国の弁護士、外交官です。ジョージア大学法科大学院で法務博士号を取得後、国務省に入省し、外交官としてキャリアをスタートさせました。NMVコンサルティングの上級顧問も務めています。

概要

メアは、国務省で数々の要職を歴任しました。在日本大使館では政治軍事部長、在沖縄総領事を務めるなど、日本との関係が深い人物です。しかし、国務省東アジア・太平洋局日本部長在任中、舌禍事件により解任され、依願退官しました。退官後は、民間コンサルティング会社で活動しています。

日本語が堪能で、日本人女性と結婚しています。日本文化に対する理解も深い一方で、その発言はしばしば物議を醸し、批判の対象となることもありました。

来歴

生い立ちと学歴

メアはサウスカロライナ州フローレンスで生まれました。高校、大学と飛び級を重ね、19歳でラグレインジ大学を卒業、近代ヨーロッパ史の学士号を取得しました。その後、ハワイ大学大学院で近代東アジア史の修士号を、ジョージア大学法科大学院で法務博士号を取得しています。

大学院では中国語を学び、宗教学や東洋史にも興味を持っていましたが、就職を考慮し法律学に転向しました。ラグレインジ大学時代には、日本語を教えていた日本人女子学生と結婚しました。

弁護士から外交官へ

ジョージア大学在学中、国際法を教えていたディーン・ラスク元国務長官の研究員を務め、外交官になることを勧められました。1981年に弁護士資格を取得後、国務省に入省。当時、国務省職員は東海岸の名門私立大学出身者が多かった中、南部州立大学出身のメアは異例の存在でした。ウォーターゲート事件後の採用方針転換により、地方州立大学出身者にも門戸が開かれたことが、彼の入省につながりました。

外交官としてのキャリア

1982年から1984年まで在香港総領事館で副領事を務めた後、日本関連の職務を歴任しました。駐日大使館では経済担当二等書記官、国務省日本部では経済担当官を務めました。1988年には横浜の日本語研修所で語学研修を受け、その後、駐日大使館の政治軍事部副課長、国防総省国際政策課長などを歴任しました。

1997年から1998年には東京大学東洋文化研究所で客員研究員を務め、その後、在福岡領事館の首席領事、駐日公使館の環境科学技術担当公使を歴任。2005年から2006年には駐日大使館の政治軍事部長、2006年から2009年には在沖縄総領事を務めました。

2009年に国務省に帰任し、東アジア・太平洋局日本部長に就任しましたが、沖縄総領事時代の言動が問題視され、2011年に解任されました。解任後、東日本大震災発生時には、対日支援の調整役を務めましたが、その後国務省を退職しました。

退職理由は、日本部長解任への不満による依願退職と報じられました。退職後、メアは「愛する日本で、一番嫌われ者の米国人になるのが耐えられなかった」と語っています。また、報道された発言は、米軍基地再編を妨害しようとするグループの歪曲によるものであると主張しました。

退官後

退官後は、リチャード・ローレスらが設立したNMVコンサルティングの上級顧問に就任。使用済み核燃料の再処理問題などに関わっています。日本の総理大臣官邸を訪問し、政府関係者と面会するなど、積極的に活動しています。

発言と論争

在沖縄総領事在任中、メアの発言はしばしば批判の対象となりました。その言動は「軍政中の琉球列島高等弁務官と何ら変わらない」と批判され、社説で非難されることもありました。

普天間飛行場の危険性に関する発言や、沖縄県民に対する差別的な発言が問題視されました。また、日米地位協定の見直しを求める動きに対して批判的な見解を示しました。

メアは、沖縄県民を「怠惰でゴーヤーも育てられない」と発言したと報道されましたが、本人はこれを否定しています。また、沖縄県民をプエルトリコ人に例えて「肌が浅黒くて背が低く、訛りがある」と発言したとも報じられましたが、これも曲解だと主張しています。

2012年には、文藝春秋で、竹島問題における日韓融和を説く一方で、尖閣諸島については、日本が中国の脅威に対抗するために防衛力を強化すべきだと主張しました。

名誉毀損問題

著書「決断できない日本」において、沖縄県宜野湾市の小学校移転問題について、伊波洋一前市長が反対していたと記述したことに対し、伊波氏から名誉毀損で告訴されました。メアは「記述は事実」と主張しましたが、那覇地検は嫌疑不十分で不起訴処分としました。

著書

『決断できない日本』(文春新書、2011年)
『自滅するな日本 (田原総一朗責任編集)』(アスコム、2012年)

メアは、そのキャリアの中で、日本とアメリカの関係において重要な役割を担ってきました。その一方で、数々の発言が論争を引き起こし、様々な意見を持つ人物として知られています。

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