ケークウォーク (企業)

Cakewalk, Inc.は、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンを拠点とする音楽制作ソフトウェア開発会社です。

創業当初はTwelve Tone Systems, Inc.という社名で、1980年代から1990年代にかけて活動を開始しました。この時期、企業名ではなく主力製品であるMIDIシーケンサの名前として「Cakewalk」が広く知られていました。

同社の最も代表的な製品は、プロフェッショナル向けの統合型音楽制作ソフトウェア（DAW - Digital Audio Workstation）であるSONARシリーズです。SONARは、オーディオとMIDIの両方を扱えるマルチトラック録音・編集機能を備え、音楽制作の現場で広く利用されてきました。その他にも、デジタル音楽編集ソフトのpyro Audio Creatorや、ソフトウェアシンセサイザーのRapture Proなど、多岐にわたる音楽ソフトウェア製品を提供しています。

Cakewalkの歴史は、企業間の提携や買収によって大きく変化してきました。

1995年からは日本のローランド株式会社と業務提携を結び、SONARをはじめとするソフトウェアはローランドから販売されていました。ローランドの傘下に入った後には、「Cakewalk by Roland」ブランドとして、オーディオインターフェースなどのコンピュータミュージック関連ハードウェアも展開しました。

しかし、2013年9月24日には、ローランドが所有するCakewalkの株式を米ギブソン社に売却することを発表。これにより、Cakewalkはギブソン子会社のTEAC社が展開するTASCAMブランドの下で製品を展開するようになります。日本国内においては、TEACが日本語サポートとパッケージ製品の販売を担当しましたが、ダウンロード製品はCakewalk自身のオンラインストアで提供されました。

その後の2017年11月17日、ギブソンおよびCakewalkは、SONARを含む全てのCakewalk製品の積極的な開発・生産を終了することを突如発表しました。

製品開発の停止によりユーザーコミュニティに衝撃が走る中、2018年2月23日、シンガポールのBandLab TechnologiesがCakewalkの全ての知的財産権と一部資産を取得したことを公表しました。そして、2018年4月4日には、BandLab Technologyの下でSONARの後継となる新しい音楽制作ソフトウェア「Cakewalk by BandLab」がリリースされ、Cakewalkのソフトウェア開発は再び動き出しました。

Cakewalkは、SONARシリーズ以外にも、様々なソフトウェア音源やエフェクトを提供してきました。

代表的なソフトウェア音源としては、

Cakewalk Sound Center（DimentionやRaptureから厳選した音色集）
Dimension Pro/LE（日本国内ではD-Pro (LE)として提供）
Rapture (LE) / Rapture Session
Studio Instruments（ドラム、ベース、ストリングス、エレクトリックピアノ）
TTS-1（ローランドHyper Canvasと同等）
Roland GrooveSynth
* Z3ta+ 2

などが挙げられます。

エフェクトにおいては、SONAR上位版で使えるモジュールタイプのエフェクト規格「ProChannel」や、「Sonitus:fx Suite」などが知られています。

過去には、SONARの前身である「Cakewalk Pro Audio」や、Macintosh用MIDIシーケンサ「Metro」、譜面作成ソフト「Overture」、エントリー向けDAW「Music Creator」といったソフトウェア製品、さらにはオーディオ/MIDIインターフェース、USB-MIDIキーボード、音源モジュール内蔵インターフェース「Mobile Studio Canvas」などのハードウェア製品も展開していました。

度重なる変遷を経ていますが、Cakewalkは音楽制作ソフトウェアの分野で長い歴史を持ち、特にSONARシリーズは多くのクリエイターに利用された製品です。BandLab Technologiesの下で開発が再開された「Cakewalk by BandLab」は、この遺産を引き継いでいます。

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