ゲイドン級装甲巡洋艦

ゲイドン級装甲巡洋艦について

ゲイドン級装甲巡洋艦（Croiseur cuirassé - classe Gueydon）は、フランス海軍に属する装甲巡洋艦として1897年に建造が承認され、最終的に3隻が就役しました。この艦級は、設計者ルイ＝エミール・ベルタンの手によって造られ、様々な戦闘任務に対応できる汎用性を備えています。

概要と設計の背景

本級は「ジャンヌ・ダルク」を基にした小型版で、商船の攻撃から艦隊の護衛任務にまで幅広く対応できる性能を持っています。また、この艦級はフランスで初めて混焼缶を採用し、石炭と重油の両方を燃料として使用可能な点も特徴です。

艦形と構造

本艦は、堅実な船体設計がなされており、乾舷が高く、長船首楼型の形状を持っています。そのため、外洋での航行性能にも優れています。前方には19.4cmの速射砲を搭載した主砲塔が配置されており、艦橋は両脇に舟橋を持つ箱形の構造です。見張り所を兼ねた二段のミリタリー・マストが目を引きます。

艦橋背後には、4本の煙突が立ち、砲室は前後に分かれています。これにより、特有の形状の煙突配置が生まれ、艦載艇置き場も設けられており、片舷には8基のボート・ダビッドが運用されています。また、後部には簡素なマストがあり、後向きに配置された主砲塔が艦の後端で視覚的な印象を強めています。

火器と武装

本級の主砲には「Model 1893-96 19.4cm速射砲」が採用され、単装砲塔が2基搭載されています。俯仰能力があり、160度の旋回角度を持つことで、幅広い射撃能力を確保しています。また副砲としても「Model 1893-96 16.3cm速射砲」が使用され、対空火器としては10cm、4.7cm、3.7cmの各種砲が配置されています。

近代化改装された「ゲイドン」艦では、主武装が13.9cm速射砲に統一され、新型対空火器も選定されており、より高い防空能力を誇る艦となりました。

防御機構

防御にはハーヴェイ・ニッケル鋼が用いられ、各所に厚い装甲板が張られています。特に水線部には、艦首から4m手前まで強固な装甲が施され、その厚さは最大で150mmに達します。また、主砲塔の基部や司令塔も厚い装甲が施されており、高い防御力を提供しています。

機関と速度

この艦級は、フランス海軍で初めて混焼缶を実用化した艦であり、各艦に異なるボイラー形式が採用されています。全ての艦は、三段膨張型四気筒レシプロ機関によって推進され、速力はおおむね21ノットを超える性能を持っています。

同型艦の歴史

1. ゲイドン（Gueydon）
- 1899年に進水し、1935年にハルクとして使用後、1944年に解体。
2. モンカルム（Montcalm）
- 1902年に竣工、1942年にドイツ軍に鹵獲され、その後解体。
3. デュプティ・トゥアール（Dupetit Thouars）
- 1905年に竣工し、1918年に戦没。

参考文献

• - 「世界の艦船 増刊第50集 フランス巡洋艦史」（海人社）
• - 「Conway All The World's Fighting Ships 1860-1905」（Conway）
• - 「Conway All The World's Fighting Ships 1906–1921」（Conway）

ゲイドン級装甲巡洋艦は、フランス海軍の一時代を象徴する艦艇であり、その多様な任務及び設計の革新性は、今なお海軍史の中で重要な位置を占めています。

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