ゲティン・イン・オーヴァー・マイ・ヘッド

『ゲティン・イン・オーヴァー・マイ・ヘッド』（Gettin' in Over My Head）

『ゲティン・イン・オーヴァー・マイ・ヘッド』は、アメリカを代表するミュージシャン、ブライアン・ウィルソンによって2004年にリリースされたスタジオ・アルバムです。ソロ名義でのスタジオ作品としては、1998年の『イマジネーション』以来、実に6年ぶりの発表となりました。

このアルバムの大きな特徴の一つは、参加ミュージシャンの顔ぶれの豪華さです。エルトン・ジョン、ザ・ビーチ・ボーイズ時代の盟友であるカール・ウィルソン（発表当時は既に故人）、エリック・クラプトン、そしてポール・マッカートニーといった音楽界の巨匠たちが「スペシャル・ゲスト」として名を連ねています。また、ブライアンのソロキャリアを初期から支えてきたアンディ・ペイリー（1988年のアルバム『ブライアン・ウィルソン』で共同プロデューサーを務めた）や、当時のライヴ活動をサポートしていたバンド、ワンダーミンツのダリアン・サハナジャとニック・ワルスコら、ブライアンにゆかりの深いミュージシャンたちも多数レコーディングに参加し、作品に彩りを添えています。

解説

本作には、過去の未発表プロジェクトからの楽曲が複数収録されています。具体的には、「メイク・ア・ウィシュ」「レインボウ・アイズ」「ドント・レット・ハー・ノウ・シーズ・アン・エンジェル」の3曲は、かつてブライアンのソロ第2作として制作が計画されながら、結局世に出ることのなかったアルバム『スウィート・インサニティ』のレコーディング・セッションで録音された音源を基に、新たに演奏し直されたものです。さらに、「フェアリー・テール」と「ザ・ワルツ」も、『スウィート・インサニティ』のために書かれた楽曲を元にしていますが、タイトルなどが変更されています。

また、「ソウル・サーチン」は、1990年代中頃にザ・ビーチ・ボーイズ名義で録音されながら発表されなかった楽曲です。このアルバムに収録される際、1998年に惜しくも亡くなったカール・ウィルソンが残したボーカル・トラックに、ブライアン自身のボーカルと新たなバッキング・トラックが加えられ、完成されました。

「フレンド・ライク・ユー」は、2002年にエリザベス女王の戴冠50周年記念コンサートや、地雷撤去を求めるチャリティ・コンサートでブライアンと共演したポール・マッカートニーに捧げられた楽曲です。この曲のレコーディングには、ポール本人も参加しており、二人の交流が形になった一曲と言えます。

アルバムのジャケット・デザインは、ザ・ビートルズの歴史的名盤『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のアートワークを手掛けたことで知られるピーター・ブレイクが担当しました。彼のデザインは高く評価され、2004年12月17日付のイギリスの新聞『ガーディアン』紙に掲載された記事「The most beautiful sleeves of 2004」で選ばれた10作品の一つとして、本作のジャケットが挙げられています。

収録曲

特記なき楽曲はブライアン・ウィルソンとアンディ・ペイリーの共作です。

1. ハウ・クッド・ウィ・スティル・ビー・ダンシン - "How Could We Still Be Dancin'?" (Brian Wilson, Joe Thomas) - 4:42
2. ソウル・サーチン - "Soul Searchin'" - 4:08
3. ユーヴ・タッチド・ミー - "You've Touched Me" (B. Wilson, Steve Kalinich) - 3:22
4. ゲティン・イン・オーヴァー・マイ・ヘッド - "Gettin' in Over My Head" - 4:29
5. シティ・ブルース - "City Blues" (B. Wilson, Scott Bennett) - 4:22
6. デザート・ドライヴ - "Desert Drive" - 3:36
7. フレンド・ライク・ユー - "A Friend Like You" (B. Wilson, S. Kalinich) - 3:38
8. メイク・ア・ウィシュ - "Make a Wish" (B. Wilson) - 3:50
9. レインボウ・アイズ - "Rainbow Eyes" (B. Wilson) - 4:08
10. サタデー・モーニング・イン・ザ・シティ - "Saturday Morning in the City" - 2:54
11. フェアリー・テール - "Fairy Tale" (B. Wilson, David Foster) - 5:28
12. ドント・レット・ハー・ノウ・シーズ・アン・エンジェル - "Don't Let Her Know She's an Angel" (B. Wilson) - 4:17
13. ザ・ワルツ - "The Waltz" (B. Wilson, Van Dyke Parks) - 4:09

参加ミュージシャン

ブライアン・ウィルソン - ボーカル、バッキング・ボーカル、ピアノ、キーボード
エルトン・ジョン - ボーカル、ピアノ (#1)
カール・ウィルソン - ボーカル (#2)
エリック・クラプトン - ギター (#5)
ポール・マッカートニー - ボーカル、アコースティック・ギター (#7)
スコット・ベネット - キーボード、ヴィブラフォン、パーカッション、ベース、ギター、バッキング・ボーカル
ダリアン・サハナジャ - ピアノ、キーボード、ヴィブラフォン、パーカッション、バッキング・ボーカル
プロビン・グレゴリー - ギター、フレンチホルン、トランペット、キーボード、トロンボーン
ジョー・トーマス - キーボード
ニック・ワルスコ - ギター
ジェフリー・フォスケット - ギター、バッキング・ボーカル
グレッグ・リース - ギター
ボブ・リジック - ベース
マイケル・ローズ - ベース
トッド・サッチャーマン - ドラムス、パーカッション
ジム・ハインズ - パーカッション
アンディ・ペイリー - パーカッション、バッキング・ボーカル
ポール・マーテンス - サックス、フルート、ハーモニカ、クラリネット
エイミー・ファリス - ヴィオラ、ヴァイオリン
スーザン・ジェンセン - ヴァイオリン
ピーター・ケント - ヴァイオリン
ルドルフ・スタイン - チェロ
* キャロル・ロビンス - ハープ

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