ゲージーノ

ゲージーノ（gaugino）は、素粒子物理学における超対称性理論において予言される、ゲージ粒子の超対称性パートナーとなるフェルミ粒子です。超対称性（SUSY）理論は、ボソンとフェルミオンという二種類の素粒子の間に新たな対称性を仮定するもので、未発見の素粒子の存在を示唆します。

ゲージーノの種類

最小超対称標準模型（MSSM）では、以下のゲージーノが存在すると考えられています。

グルイーノ (gluino): 強い力を媒介するグルーオンの超対称性パートナー。強い相互作用に関与するため、カラーチャージを持ちます。
ウィーノ (wino): 弱い力を媒介するSU(2)Lゲージ場の超対称性パートナー。
ビーノ (bino): 弱い力を媒介するU(1)Yゲージ場（ウィークハイパーチャージに対応）の超対称性パートナー。

ニュートラリーノとチャージーノ

ゲージーノは、ヒッグス場の自由度の超対称性パートナーであるヒグシーノと混合します。この混合により、ニュートラリーノ（電荷を持たない）とチャージーノ（電荷を持つ）と呼ばれる質量固有状態、すなわち線形結合が生成されます。

ニュートラリーノ (neutralino): 電荷を持たない нейтральный。複数のゲージーノとヒグシーノの混合によって生成されます。最も軽いニュートラリーノは、安定な粒子である可能性があり、暗黒物質の有力な候補として研究されています。
チャージーノ (chargino): 電荷を持つ заряженный。同様に、ゲージーノとヒグシーノの混合によって生成されます。

暗黒物質の候補としてのニュートラリーノ

多くの超対称性モデルにおいて、最も軽いニュートラリーノ（しばしばフォティーノと呼ばれる）は安定であると予測されます。この場合、ニュートラリーノはWIMP（weakly interacting massive particles、弱い相互作用をする重い粒子）となり、暗黒物質の候補として非常に魅力的です。暗黒物質は、宇宙の質量の大部分を占めていると考えられていますが、電磁波と相互作用しないため、直接観測することができません。WIMPは、弱い相互作用を通じて他の粒子と相互作用する可能性があるため、間接的な検出方法が研究されています。

その他のゲージーノ

グラビティーノ (gravitino): 重力を媒介すると考えられている重力子の超対称性パートナー。標準模型に対応する粒子を持たないゲージーノです。グラビティーノの質量は、超対称性の破れのメカニズムに依存し、その値は未だ確定していません。

ゲージーノの研究は、超対称性理論の検証、暗黒物質の解明、そして素粒子物理学の新たな地平を切り開く上で重要な役割を担っています。

参考文献
G. Bertone, D. Hooper, J. Silk (2005). "Particle Dark Matter: Evidence, Candidates and Constraints". Physics Reports, vol. 405. pp. 279–390.

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