フォティーノ

フォティーノ（Photino）は、素粒子物理学における超対称性（SUSY）理論において提唱されている、光子の超対称性パートナーです。超対称性粒子の一種であり、特にゲージーノと呼ばれるグループに分類されます。ゲージーノは、力の媒介粒子（ゲージ粒子）の超対称性パートナーを指します。

フォティーノの主な特徴は以下の通りです。

レプトン数: 0
バリオン数: 0
スピン角運動量: 1/2
Rパリティ: -1

これらの性質から、フォティーノは電気的に中性であり、フェルミ粒子（スピンが半整数の粒子）であることがわかります。また、Rパリティが-1であることは、フォティーノが対生成でのみ生成・消滅することを示唆しており、最も軽い超対称性粒子（LSP: Lightest Supersymmetric Particle）となり、安定である可能性を示しています。この安定性から、フォティーノは宇宙に存在する暗黒物質の有力な候補の一つと考えられています。

フォティーノは単独で存在するのではなく、他の超対称性パートナー粒子と混合する可能性があります。特に重要なのが、以下の粒子との混合です。

ジーノ (Zino): Zボソンの超対称性パートナー
ヒグシーノ (Higgsino): 中性ヒッグス粒子の超対称性パートナー

これらの粒子とフォティーノが混合することで、ニュートラリーノと呼ばれる質量固有状態が生成されます。ニュートラリーノは、超対称性理論において最も軽い超対称性粒子（LSP）となることが多く、暗黒物質の主要な構成要素であると考えられています。ニュートラリーノの性質は、フォティーノ、ジーノ、ヒグシーノの混合比によって大きく変化し、それぞれの粒子の相互作用の強さや質量に影響を与えます。

超対称性理論は、素粒子物理学の標準模型を超える理論として、その検証が精力的に行われています。フォティーノやニュートラリーノの探索は、超対称性理論の検証における重要な課題の一つであり、高エネルギー加速器実験や暗黒物質直接探索実験などを通じて、その存在や性質の解明が試みられています。

フォティーノが暗黒物質である場合、宇宙におけるその存在量は、宇宙マイクロ波背景放射の観測や銀河の回転曲線などから推定される暗黒物質の密度と一致する必要があります。また、フォティーノが他の粒子と相互作用する強さは、現在の実験的な制限を満たす必要があります。これらの条件を満たすフォティーノの性質を特定することで、暗黒物質の正体や宇宙の構造形成に関する理解を深めることができると期待されています。

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