ゲームブックドラゴンクエスト

ゲームブック ドラゴンクエスト シリーズ解説

スクウェア・エニックス（旧エニックス）より発売された『ゲームブック ドラゴンクエスト』シリーズは、人気RPG『ドラゴンクエスト』の世界観をゲームブックという形式で楽しめる作品群です。シリーズを通して、コンピュータゲーム版を彷彿とさせるシステムや、ゲームブック独自のルールが用いられており、多様なゲーム体験を提供しています。

シリーズの特徴

冒険の書: ゲームブック内では、冒険の記録をするシートを「冒険の書」と呼んでいます。これはコンピュータゲーム版のセーブデータに由来する名称です。
主人公: 『ドラゴンクエストIV』を除き、主人公の名前は設定されていません。また、『ドラゴンクエストIV』を除く作品では、主人公の視点で物語が語られています（一人称は「ぼく」または「僕」）。
原作との差異: 各作品は『ドラゴンクエスト』シリーズの世界観を踏襲していますが、ストーリーは原作と異なる部分が多く、オリジナルのキャラクターやモンスターが登場するなど、ゲームブック独自の展開が特徴です。ただし、一部のセリフはコンピュータゲーム版からの流用も見られます。

各作品の詳細

ゲームブック ドラゴンクエストIII そして伝説へ…

エニックス初のゲームブック作品であり、三部構成（上巻・中巻・下巻）で構成されています。コンピュータゲーム版でお馴染みのHP、レベル、買い物などのシステムが、ゲームブック用にアレンジされ、独自のゲーム性を実現しています。

ストーリー: アリアハンから始まり、レイアムランド、アレフガルドと舞台が移り変わり、最終的に大魔王ゾーマとの決戦に挑みます。原作とは異なるストーリー展開が魅力です。
ルール: 「ポイントチェック」と呼ばれるフラグチェックシステムを採用しており、チェックの有無や数値によって物語が分岐します。戦闘は勇者一人で行われ、仲間キャラクターは戦闘に関与しません。レベルアップやアイテム購入などのシステムもコンピュータゲーム版を踏襲しています。
キャラクター: 勇者（男）、僧侶ゼブル（男）、魔法使いマニィ（女）は固定メンバー。残りの1人は、戦士ハルク、武闘家チェン、商人トラン、遊び人ラルフの中から選択可能です。

ゲームブック ドラゴンクエストII

二部構成（上巻・下巻）の作品で、『ドラゴンクエストIII』よりもページ数が多いことが特徴です。各巻末には漫画風の「コミックシーン」が収録されています。

ストーリー: ロトの血を引く主人公が、サマルトリア王子カインとムーンブルク王女ナナと共に、ハーゴン軍と戦います。原作にはないオリジナル要素が多数盛り込まれています。
ルール: フラグチェックシステムは採用されていません。アイテムの有無や仲間の状態によって物語が分岐します。戦闘では主人公だけでなく、パーティメンバー全員が参加します。ステータス異常の概念も導入されています。
キャラクター: 主人公（ロトの血を引く者）、カイン、ナナの3人がパーティを組んで冒険します。カインとナナは呪文を使用できます。

ゲームブック ドラゴンクエスト

二部構成（上巻・下巻）の作品で、ボードゲーム風のフィールドマップが付属しています。主人公は小説版と同じ「アレフ」です。

ストーリー: ラダトーム城から始まり、ローラ姫救出、竜王との最終決戦へと展開します。付属マップを用いた移動システムが特徴です。
ルール: サイコロを使った移動システムや、簡略化された戦闘システム、呪文を使用するためのMPシステム、フラグチェックシステムなどが採用されています。
キャラクター: 主人公アレフが単独で冒険します。

ゲームブック ドラゴンクエストIV

シリーズ初の四部構成作品です。章の構成やキャラクターは原作に準じていますが、ストーリーは原作とは大きく異なります。他の作品とは異なり、第三者視点で物語が語られています。主人公の名前は「ユウ」ですが、本文では主に「勇者」と呼ばれています。

ストーリー: 原作のストーリーを基に、独自の展開がなされています。
ルール: HP、MP、攻撃力、守備力などのシステムは廃止され、フラグチェックシステムが中心となります。経験値とレベルのシステムは残っていますが、分岐判定のための数値として用いられています。

ゲームブック ドラゴンクエストV

四部構成作品で、原作に忠実なストーリー展開が特徴です。結婚イベントも原作同様、ビアンカかフローラのどちらかを選択できます。

ストーリー: 原作のストーリーをほぼ忠実に再現しています。
ルール: 『IV』のルールを踏襲しつつ、仲間モンスターシステムと「小さなメダル」システムが追加されています。馬車システムも取り入れられています。全滅やゲームオーバーはありません。

ゲームブック ドラゴンクエストVI

シリーズ最後の四部構成作品です。原作とほぼ同じ流れですが、一部のシナリオはカットされています。

ストーリー: 原作のストーリーを基に、ゲームブック用にアレンジされています。
ルール: 『IV』『V』のルールに加え、HPシステムが復活しています。バトル対戦表を用いた戦闘システムも採用されています。馬車システムも取り入れられています。

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