コアレスモータ

コアレスモータ（無鉄心電動機）とは

コアレスモータは、永久磁石界磁形整流子電動機の一種であり、巻線を樹脂のみで固めたカップ状の電機子と、内蔵された永久磁石界磁を特徴とするアウターロータ型の電動機です。その名の通り、従来のモーターに存在するコア（鉄心）を持たないため、鉄心で発生するエネルギー損失（鉄損）を理論上なくすことができます。

コアレスモータの構造と原理

従来のモーターは、鉄心にコイルを巻いた電機子を使用しますが、コアレスモータでは、鉄心を使用せずに、コイル自身を樹脂で固めて円筒状（カップ状）の電機子を形成します。この電機子の中に永久磁石を配置し、電流を流すことで回転力を得ます。鉄心がないため、磁気的な抵抗が少なく、効率的な回転運動が可能になります。

コアレスモータの特徴

コアレスモータは、その独特な構造から、以下のような優れた特徴を持ちます。

優れた応答性: 電機子の質量が非常に軽いため、機械的な時定数が小さく、慣性モーメントも小さいです。これにより、急な加速や減速が必要な用途に最適です。
低インダクタンス: 巻線のインダクタンスが少ないため、整流時に発生する火花が小さく、電気的なノイズを抑制できます。
コギングレス: 鉄心がないため、磁気的な吸引力による回転ムラ（コギング）が発生せず、スムーズな回転を実現できます。
高効率: 鉄損がないため、エネルギー効率が高く、省エネルギー性に優れています。

コアレスモータの課題

一方で、コアレスモータは、鉄心がないために大きなトルクを生み出すことが難しいという課題がありました。しかし、近年では強力なネオジム磁石の登場により、様々な種類のコアレスモータが開発されています。

コアレスモータの用途

コアレスモータは、その特性を活かして、様々な分野で利用されています。

精密機器: X-Yプロッタのペン駆動用モータなど、精密な制御が求められる用途で使用されています。（近年はステッピングモータが主流）
小型電子機器: 携帯電話の振動モータなど、小型で軽量なモータが求められる用途で使用されています。
ホビー: 高級鉄道模型の駆動用モータ、ラジコン、ロボット等のサーボモータなど、高い応答性とスムーズな動作が求められる用途で使用されています。
電気自動車: 電気自動車用の大型コアレスモーターも開発されており、ワールドソーラーチャレンジに参戦するソーラーカーなどに採用されています。オーストラリアのCSIROが開発したモーターは、コイルにリッツ線を採用し、強力なネオジム磁石のハルバッハ配列を採用することで、大きな出力を得ています。

今後の展望

コアレスモータは、小型化、高効率化、高性能化が進み、今後ますます様々な分野での応用が期待されています。特に、電気自動車やロボットなどの分野では、その優れた特性を活かした革新的な技術開発が進むと予想されます。

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