コウゾリナ

コウゾリナ（顔剃菜）

コウゾリナ（Picris hieracioides subsp. japonica）は、キク科コウゾリナ属に分類される越年草または多年草です。日本全国の野原や道端など、日当たりの良い場所に自生しており、身近な野草として知られています。ヨーロッパ原産のセイヨウコウゾリナの亜種とされています。

別名としてカオソリナ、タンポポナなどがあり、和名の「コウゾリナ」は、植物全体に生える硬い毛が、男性の髭や髭剃りを連想させることに由来すると言われています。

特徴

分布: 北海道から九州にかけて分布し、日当たりの良い草地や土手、荒れ地などに生育します。
草丈: 茎は直立し、40cmから100cm程度まで成長します。
葉: 全体に褐色の毛が密生しており、触るとざらざらした感触があります。根生葉はロゼット状でタンポポに似ていますが、開花時には枯れてしまいます。茎につく葉は披針形で、茎を抱くように生えます。
花: 5月から11月頃に、タンポポを小さくしたような黄色い頭花を咲かせます。頭花は舌状花のみで構成されています。
果実: 細長い茶褐色の痩果で、冠毛があり、風によって散布されます。

よく似た植物としてブタナがありますが、ブタナは茎に毛がなく、花茎が枝分かれしていることで区別できます。

利用

コウゾリナは食用として利用できる野草です。早春から春にかけての若苗や若葉、茎の先端を食用にします。アク抜きは不要で、茹でてお浸しや和え物、炒め物などに利用できます。天ぷらや汁の実などにも適しています。

ただし、開花時期には葉が硬くなるため、食用には適しません。

また、コウゾリナは全草を薬用にも利用できます。健胃作用や整腸作用があるとされています。

参考文献

金田初代、金田洋一郎（写真）「コウゾリナ」『ひと目でわかる! おいしい「山菜・野草」の見分け方・食べ方』PHP研究所、2010年9月24日、14頁。ISBN 978-4-569-79145-6。 
川原勝征『食べる野草と薬草』南方新社、2015年11月10日、30頁。ISBN 978-4-86124-327-1。 
鈴木庸夫、高橋冬、安延尚文『増補改訂 草木の種子と果実: 形態や大きさが一目でわかる734種』誠文堂新光社〈ネイチャーガイドブック〉、2018年9月20日、48頁。ISBN 978-4-416-51874-8。 
* 高橋秀男監修 田中つとむ・松原渓著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、47頁。ISBN 4-05-401881-5。

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