コウライキジ

コウライキジについて

コウライキジ（高麗雉）、学名Phasianus colchicusは、キジ科に属する鳥類の一種で、その特異な特徴と広範な分布から、多くの観察者や愛好家に親しまれています。コウライキジは、約30の亜種に分類され、ユーラシア大陸全域で見ることができますが、日本には固有種のキジ（Phasianus versicolor）が生息しています。

種と学名

コウライキジの学名は、カフカース地方に位置する古代王国コルキスに由来します。この鳥の雄は、全体的に緑色の体色をもち、冠羽は褐色であり、翼の色と共通しています。多くの亜種には、首に白い輪状の模様が特徴として見受けられますが、基準種のP. c. colchicusにはその模様が存在しません。コウライキジは一般に「クビワキジ」と呼ばれ、対して日本固有のキジは「ニホンキジ」と呼ばれて区別されることがあります。雌や雛の段階では、両者の識別は難しいとされています。

この二種は容易に交配し、そのoffspringも生殖能力を持つため、日本では交雑個体が多く確認されています。ゆえに、キジをコウライキジの亜種として捉える見方もあり、その場合の学名はP. colchicus versicolorとなります。

分布

コウライキジの自然分布は、カスピ海沿岸から朝鮮半島にかけての地域に広がっています。しかし、古くから狩猟対象として人気があるため、この種は人々によって世界各地に移入されてきました。基準種であるP. c. colchicusは、古代ローマ時代にイタリアに持ち込まれた後、現地の環境に順応した系統がヨーロッパ全体に広がりました。

生態

コウライキジは、草原や耕作地など開けた環境を好み、自然の中でもよく見かける鳥です。特に北海道では、放たれたコウライキジが庭先に現れ、飼い鳥の餌を狙うこともあり、地域の生態系に適応している様子が観察されます。

移入種

日本への移入

コウライキジの名称は、「高麗」つまり朝鮮のキジを示しています。日本には、P. colchicus karpowi Buturlin亜種が1924年に名古屋市近郊の津島市に移入され、その後1930年には北海道の長万部町や日高郡にも持ち込まれました。また、1965年から1966年には八丈島と三宅島への移入も行われました。対馬と海栗島では、既に中世に朝鮮半島から移入されたと考えられています。

北米への移入

北米大陸には1730年からコウライキジの移入が試みられ、中国のいくつかの地域が原産の亜種であるP. colchicus torquatus Gmelin 1789（通称：Ring-necked Pheasant）が狩猟用として広く定着しました。現在、この亜種は主にプレーリー地方で見られ、サウスダコタ州の州鳥にも指定されています。

自治体の鳥

千歳市では1986年4月1日に、市の鳥としてコウライキジが採用され、また対馬市では2004年3月1日にその施行が認められました。さらに、コウライキジはサウスダコタ州の州鳥としても知られています。これらのことからも、この鳥が地域社会において重要視されていることが窺えます。

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