コガモ

コガモについて

コガモ（小鴨、学名: Anas crecca）は、カモ目カモ科マガモ属に分類される鳥類の一種で、カモの仲間です。名前の由来は「小型のカモ」を意味しますが、ここで解説するコガモは特定の種を指します。

形態

コガモは体長34～38cm、翼開長58～64cmと、カモ類の中では比較的小型です。オスはメスよりもやや大きく、ドバトより一回り大きい程度です。

オスの特徴

頭部：栗色
目の周りから後頸：暗緑色
体：灰色
側面：横方向の白線
下尾筒：黒色、両側に黄色い三角斑
翼：暗褐色、翼鏡は緑色
嘴と足：黒色

メスの特徴

全体：褐色、黒褐色の斑点
下尾筒の両脇：白色
翼鏡：緑色（オスと同様）

生態

生息場所

非繁殖期には、湖沼、池、河川、干潟などの淡水域に生息します。繁殖期には、河川や湿地周辺の草地などで見られます。

食性

植物食で、水面から手が届く範囲の藻や水草を主に食べます。夜間に採食することが多いです。

繁殖

つがい形成：越冬終盤の2月末～3月
繁殖地への移動：つがい形成後
ディスプレイ行動：11月～1月頃、オスがメスに対して行う
巣作り：メスが草地に作る
産卵：4月下旬～7月上旬に平均8個
卵のサイズ：平均45×33mm
抱卵期間：21～23日
育雛：メスのみが行う
雛の独立：26～30日程度

鳴き声

オス：「ピリピリッ」
メス：「クゥェックゥェッ」

分布

生息地域

ユーラシア中部・北部、北米大陸中部・北部で繁殖し、冬季はヨーロッパ南部、北アフリカ、中近東、南アジア、東アジア、北アメリカ中部から南部で越冬します。

日本での分布

冬鳥として全国に飛来し、市街地の河川や公園の池でも普通に見られます。中部地方以北の高原や北海道の湿原では、ごく少数が繁殖しています。

渡りの特徴

カモ類の中では冬の渡りが早く、春の渡りが遅めです。越冬中は群れで生活し、関東地方では9月頃から4月頃に見ることができます。

亜種

亜種コガモ (Anas crecca crecca)

日本に主に渡来する亜種です。

亜種アメリカコガモ (Anas crecca carolinensis)

英名：Green-winged Teal。

オスの識別ポイントは、側面に横白線がなく、肩から縦に白線が入ることです。メスや幼鳥の識別は困難で、日本では稀に観察されます。また、亜種間雑種と見られる個体も観察されています。

この亜種を独立種 Anas carolinensis とする見解もあります。

亜種オオコガモ (Anas crecca nimia*)

アリューシャン列島に分布しています。

保全状況評価

IUCNレッドリストでは、軽度懸念（LEAST CONCERN）に分類されています。

人間との関わり

マガモと同様に食用とされます。マガモに劣らない味ですが、体が小さいため狩猟の対象となる機会は少ないです。マガモやカルガモと比べると警戒心が強く、人の姿を察知するとすぐに逃げます。

その他

コガモは、その愛らしい姿と身近に見られることから、多くの人々に親しまれている鳥です。観察する際は、静かに見守り、彼らの生活を妨げないように心がけましょう。

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