コクシジウム

コクシジウム類について

コクシジウム（球虫、Coccidia）は、アピコンプレックス門に属する原生生物の一群であり、特に消化管の細胞内に寄生します。このグループには、ヒトや家畜、家禽に対して重篤な疾患を引き起こすものが多く含まれ、安全性が懸念されています。一般的に、コクシジウムと言う場合はアイメリア科、特にアイメリア属の原虫を指すことが多いです。

形態

コクシジウム類の特徴的な形態の一つは、接合子が被嚢されてオーシスト（oocyst）となり、その内部にいくつかのスポロゾイト（種虫、sporozoite）が含まれるスポロシスト（胞子、sporocyst）が形成されることです。最初は接合子が被嚢に囲まれている段階をスポロント（sporont）と呼び、その後に細胞分裂によって複数のスポロブラスト（sporoblast）および外残体（extraresidual body）が生成されます。スポロブラストは再び被嚢化しスポロシストに成長し、その後も細胞分裂を続け、内部には複数のスポロゾイトが含まれた状態へと成長します。

スポロシストは通常、厚い壁に覆われており、これによりさまざまな環境に対する耐性を持ち、次世代への感染を助ける役割を果たします。オーシストおよびスポロシストの内部には含まれるスポロゾイトの数に変動があり、これらの数は属の分類において重要な形質とされています。

分類

コクシジウムの分類は、主にアピコンプレックス門に基づいた生活環の要素に注目し、以下の3つの目に分けられます。近年では、真コクシジウム目の代わりに、アデレア目やアイメリア目などの新たな体系が提案されていますが、未だに分子情報が不足しているため、その正当性については今後のさらなる研究が必要です。

アガモコクシジウム目

この目にはメロゴニーやガメトゴニーが見られませんが、典型的なコクシジウムを形成します。栄養体が大きく成長し、消化管上皮の細胞間に寄生する特性があります。多毛類に寄生するRhytidocystis属およびイシサンゴに寄生するGemmocystis cylindrusなどが存在します。

原コクシジウム目

この目ではメロゴニーが存在せず、主に海洋多毛類に寄生するCoelotropha durchoniやGrellia dinophiliなど、約十数種が知られています。

真コクシジウム目

この目では、メロゴニー、ガメトゴニー、スポロゴニーのすべての生活環のステージが確認されており、ガメトゴニーに基づいて2つの亜目に分けられ、住血胞子虫亜目が含まれることもあります。

アデレア亜目

ここでは、雌雄の生殖母体が大きさの異なる不動性の個体となり、連接（syzygy）を通じて発達します。主に無脊椎動物の消化管や血球中に寄生するものがあり、さまざまな科が広がっています。

アイメリア亜目

こちらは生殖母体が独立して発達し、雄性配偶子は小さくて鞭毛を持つことで運動します。主に消化管上皮や組織中に寄生する種が多く存在しており、2500種以上が知られています。

最近の研究

2020年の研究では、特定の海産動物に寄生するコクシジウム類が単系統を成すことが示され、新たにエオコクシジウム類またはマロスポリダ類と呼ばれることになりました。このように、コクシジウム類は進化系統に関する新たな知見が得られることで、さらなる理解が進むと期待されています。

関連項目

• - 犬コクシジウム症
• - 鶏コクシジウム症
• - ウサギコクシジウム症

コクシジウム類は多様な生態的影響や病態を引き起こす重要な生物群であり、今後の研究が進展することでその理解が深まることが期待されています。

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