コケカキイキイ

『コケカキイキイ』とは

『コケカキイキイ』は、漫画家・水木しげるによる日本の漫画作品であり、同作に登場する架空の生物の名称でもあります。1970年に『週刊漫画サンデー』で連載され、社会風刺を織り交ぜた独特な世界観が特徴です。また、水木しげるの作品ではありませんが、同名の紙芝居作品も存在します。

概要

『コケカキイキイ』は、『週刊漫画サンデー』にて1970年8月1日から9月5日まで連載されました。その後、同年10月10日から1971年2月27日まで『コケカキイキイ外伝』が連載されました。

高度経済成長を経て生じた社会問題を題材とし、新生物「コケカキイキイ」の活躍を風刺的に描いた作品です。外伝では、「ウーマンリブ」「ヘドロ公害」「三島事件」などの時事問題や、「性風俗産業」といった性に関する題材が扱われています。

単行本は1970年11月に実業之日本社から刊行されましたが、外伝は収録されず、同時期に『週刊プレイボーイ』で連載されていた『コロポックルの枕』が併録されました。外伝は長らく書籍化されませんでしたが、1986年に講談社から刊行された『コケカキイキイ 水木しげる幻想怪奇3』で初めて全話収録されました。その後、中公文庫やコンビニコミックなどでも書籍化されています。

2005年には、境港市の水木しげるロードに「コケカキイキイ」のブロンズ像が設置されました。

あらすじ

死期が迫った老婆、捨てられた赤子、公害で弱った老猫、そしてその猫に取り付くシラミ。これら四つの生物が同時に死を迎える時、「コケカキイキイ」は誕生します。コケカキイキイは、庶民を救済するため東京へ向かい始めます。

主な登場キャラクター

コケカキイキイ：四つの生物の「死にたくない」「生きたい」という願望が、異次元の生物として目覚めた存在。庶民の不満を嗅ぎ取り、食べることで満足を残します。次第にコケカ神として崇められるようになり、様々な超能力を使って怪事件を解決します。
太吉：コケカキイキイを初めて神と認識した少年。外伝では、コケカキイキイに相談に来る人々を仲介する役割を担います。
魔羅博士：人工子宮を開発したセックス博士。黒神を育てますが、手に負えなくなり逃げられてしまいます。黒神の事件後は、科学者の立場からコケカキイキイが関わる事件に協力します。
ねずみ男：人間を騙して金儲けを企む中で、幾つかの事件に関わりコケカキイキイと敵対します。『ゲゲゲの鬼太郎』など多くの水木作品に登場するキャラクターですが、他作品との明確な繋がりはありません。
黒神：独身男性の欲求不満が人工子宮に宿り誕生した怪物。夜な夜な女性を襲い、一夜に100人の処女を奪います。容姿は妖怪「黒髪切り」に似ており、全身が黒いです。
魔女：「ウーマンリブ」と称する十人の魔女軍団。女性の解放を訴え「女の国」を作ります。一度はコケカキイキイを返り討ちにしますが、生理用品に化けたコケカキイキイの力に屈服します。
死神：三島事件の黒幕として登場。『河童の三平』や『サラリーマン死神』に登場する死神と同様に、魂を「あの世」に連れて行く仕事をしています。コケカキイキイとは以前からの知り合いです。
吸性鬼：セックスヒットラー率いる一味で、人々を襲い老若男女の性器を奪います。被害者はやがて吸性鬼と化します。

紙芝居について

水木しげるの漫画作品『コケカキイキイ』とは全く内容が異なり、水木が描いたものではありませんが、かつて同名の紙芝居作品が流通していました。水木の『鬼太郎シリーズ』の原点である伊藤正美の紙芝居『墓場奇太郎』が1933年から1935年頃に人気を博しましたが、その後関西地方でも同様の怪童が活躍する紙芝居『コケカキイキイ』が作られました。この作品は『墓場奇太郎』からヒントを得て作られ、関西では高い知名度を誇っていました。現物がほとんど確認できない幻の紙芝居でしたが、2008年に京都国際マンガミュージアムで開催された「紙芝居百年展」に出展されました。

書籍情報

『畏悦録　水木しげるの世界』（角川文庫、2007年7月、ISBN 978-4-04-192925-4）※外伝は未収録
『コケカキイキイ 妖怪傑作選 4』（中公文庫、2008年2月、ISBN 978-4-12-204983-3）
『水木しげる妖怪傑作選2 不思議な手帖』（中央公論新社〈Chuko コミック Lite Special〉、2008年8月、ISBN 978-4-12-410632-9）
『コケカキイキイ 他』（講談社〈水木しげる漫画大全集〉、2013年11月、ISBN 978-4-06-377523-5）

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