コロポックルの枕

コロポックルの枕

『コロポックルの枕』は、漫画家・水木しげるによるSF要素を取り入れた漫画作品です。この作品は、水木しげるが以前に発表した貸本漫画『地獄』のリメイクとして制作されました。

概要

この物語は、古来より語り継がれてきた地獄の風景が、実は太古の人類が実際に目撃した出来事だったという、斬新なSF的視点に基づいています。『コロポックルの枕』は、『週刊プレイボーイ』にて1970年7月28日号から9月8日号まで全7回に渡って連載されました。元となった『地獄』は、1965年に佐藤プロから貸本向け単行本として刊行されたもので、雑誌連載版ではストーリーに大きな変更は加えられていません。

連載終了後、『コロポックルの枕』は1970年11月に実業之日本社から刊行された単行本「コケカキイキイ」に収録されました。この際には、連載時と同様に、残酷なシーンも含まれていました。しかし、その後刊行される書籍では、当該シーン5ページ分がカットされることになり、現在刊行されている書籍もカットされたバージョンが収録されています。一方で、元となった『地獄』は、同様のシーンが含まれているにもかかわらず、カットされることなく収録されています。

本作のストーリーについては、マレイ・ラインスターの小説『The Wailing Asteroid』（1960年）の翻案であるという指摘があります。この小説は、児童向け抄訳を除いて日本語には翻訳されていませんが、『SFマガジン』1962年6月号に福島正実によるストーリー紹介が掲載されていました。

あらすじ

物語は、地球と月の間に突如出現した謎の惑星から始まります。主人公の大二郎（『地獄』では次郎）は、勉強に集中するため、叔父が住む北海道へと向かいます。そこで、彼は叔父の娘であるひろみと再会し、10億年前の地層から発見されたという不思議な石の枕について知ります。その枕で眠ると、大昔の情報が夢として見られるというのです。

夢の中で大二郎が見たのは、かつて存在した第1期人類が、異星人によって食料として管理され、惨殺されて滅亡したという衝撃的な事実でした。この枕を通じて、太古の地球で何が起こっていたのかを知ることになります。

書籍情報

コロポックルの枕

『怪奇館へようこそ　妖怪ワンダーランド4』（ちくま文庫、1995年7月、ISBN 4-480-03064-6）
『テレビくん　水木しげる妖怪傑作選1』（中公文庫、2007年11月、ISBN 978-4-12-204945-1）
『コロポックルの枕　水木しげる妖怪傑作選1』（中央公論新社〈Chuko コミック Lite Special〉、2008年7月、ISBN 978-4-12-410631-2）
『現代妖怪譚[全] 他』（講談社〈水木しげる漫画大全集〉、2015年12月、ISBN 978-4-06-377563-1）

地獄

『水木しげる 魍魎 貸本・短編名作選 地獄・地底の足音』（ホーム社漫画文庫（集英社）、2009年7月、ISBN 978-4-8342-7458-5）
『貸本漫画集(13) 不死鳥を飼う男 他』（講談社〈水木しげる漫画大全集〉、2017年6月、ISBN 978-4-06-377573-0）

参考文献

* 山口信二 『水木しげる貸本漫画のすべて』 （YMブックス）


『コロポックルの枕』は、水木しげるの独特な世界観と、SF的な要素が融合した魅力的な作品です。太古の地球で繰り広げられた人類と異星人の壮絶なドラマを、ぜひご堪能ください。

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