ココロ@ファンクション!

『ココロ@ファンクション!』は、株式会社ウィルプラスのブランド・PULLTOPが開発し、2013年 10月25日に発売された18歳未満購入禁止の恋愛アドベンチャーゲームです。高度なネットワーク社会となった近未来の学園を舞台に、携帯端末のアプリに翻弄される少年少女たちの青春が描かれます。2014年 11月28日には、追加シナリオなどを収録したファンディスク『ココロ@ファンクション! NEO』もリリースされました。

企画と特徴

本作の企画は、前作『この大空に、翼をひろげて』の制作が進められていた2012年冬に始まりました。当時のスマートフォン普及状況に着目し、「心が見えてしまう」という作品のテーマを分かりやすく表現する装置として、携帯デバイスが位置づけられました。さらに、現実にはないようなオーバースペックなアプリが登場することを自然に見せるため、舞台は企画時点から30年から40年後の近未来に設定されています。この時代設定には、現代よりもネットワーク化が進んだ未来における恋愛模様を描きたいという意図がありました。キャラクターデザインにおいては、写実的なスタイルだった前作から転換し、「カワイイ」路線を追求。顔のパーツ、髪型、アクセサリー、シルエットに至るまで、可愛らしさが最優先でデザインされました。作品タイトルの『ココロ@ファンクション!』は、「ココロの機能」と物語の全体像を考慮して名付けられています。

ゲームシステム

ゲームシステムは、一般的な選択肢形式のアドベンチャーゲームに準じます。舞台が近未来であるため、作中には様々な専門用語が登場しますが、テキストに用語が出現した際には画面右側に用語説明ウィンドウが自動的に表示される機能が搭載されており、プレイヤーの理解を助けます。一度表示された用語の説明は、ゲーム内のギャラリーモードでいつでも再確認できます。

物語のあらすじ

ネットワーク技術が飛躍的に発展した近未来。主人公である速水太陽が暮らすエコプラーザ市は、最新技術の試験運用が進む先進的な都市であり、市民は携帯端末「オルカ」を駆使して便利な生活を送っています。誠進学園の生徒会長を務める太陽もその一人でした。しかし、ある日、一部のオルカに自動アップデートでインストールされた謎のアプリ「ココロファンクション」によって、事態は一変します。太陽の心の中で密かに抱いていた妄想が、オルカを経由して周囲に筒抜けになってしまったのです。この出来事により、太陽の周囲からの信頼は失墜し、生徒会長の職も辞任せざるを得なくなってしまいます。失意のどん底に突き落とされた太陽でしたが、自身やヒロインたちのココロファンクションが引き起こす様々なトラブルに直面したことを機に、ヒロインたちと共に「ココロファンクション対策委員会」(CFC) を設立。学園内で多発するココロファンクション関連の問題解決に向けて奔走することになります。

登場人物

物語の中心となるココロファンクション対策委員会のメンバー、そして物語を彩るキャラクターたちを紹介します。

速水太陽：本作の主人公。誠進学園の2年生で元生徒会長。お人好しで楽天的な性格ですが、妹の朝顔を溺愛するシスコンでもあります。周囲からは完璧な学生像を期待されますが、自身の本性とのギャップに苦悩しています。恋愛経験は少ないながら妄想が膨らみやすいタイプ。自身のココロファンクション「Ver. オープンウインドウ」によって妄想が周囲に筒抜けになり、人生が一変。トラブル解決のためCFCを結成し、日夜活動に励みます。
蓮ヶ瀬水菜：2年生の転入生。夏休みに太陽と一度だけ会った後、姿を消しましたが、2学期から突然クラスに現れます。可憐な容姿と物静かな雰囲気で学園の注目を集めますが、内面には人間不信な一面と、身近な人には遠慮なく物を言うストレートさを持っています。CFCの主要メンバーとして活動します。
譲葉聖：2年生で太陽のクラスメイト。明るく面倒見の良い性格で、ファッションに関心があります。夏休み以降、太陽と親密な関係になり、周囲からはカップルのように見られますが、自身の想いを伝えられずにいます。彼女のココロファンクション「Ver. ナビゲーター」は、相談内容に対する一方的な解決策を提示します。CFCに参加し、太陽を支えます。
白草めばえ：1年生。いぶきの双子の姉。活発で誰にでも物怖じしない一方で、一日10時間以上眠るのが好きという一面も。頭の回転が早く、時に小悪魔的なイタズラを仕掛けます。後にCFCに加わります。
白草いぶき：1年生。めばえの双子の妹。引っ込み思案で心配性。姉の後ろに隠れがちですが、芯はしっかりしています。読書家。姉と共にCFCのメンバーとなります。
速水朝顔：1年生。太陽の妹。極度の人見知りで、学園入学後は寮の部屋から出ない引きこもり生活を送っています。プログラムやネットワーク技術に関しては天才的な才能を持ち、自作アプリを販売して生計を立てています。アドバイザーとしてCFCに参加し、技術面でメンバーをサポートします。彼女のココロファンクション「Ver. インビジブルリンク」は、自身を透明にする高度な技術ですが、部屋に籠もる彼女にはあまり役立っていません。本作のキャラクター人気投票で第1位を獲得しました。
遠藤智慧：有能な生徒会副会長。生真面目で潔癖な性格。太陽に秘かに好意を寄せていましたが、ココロファンクション騒動で彼の妄想を知り態度を硬化させます。太陽の辞任後、生徒会長に就任し、CFCを敵視します。本作ではサブキャラクターでしたが、ファンディスク『NEO』でヒロインに昇格しました。
ベル：太陽のオルカに搭載されている、羽の生えた妖精型アバターのコンシェルジュアプリ。元は廃止されたモデルの標準機能でしたが、太陽が愛着を持ち、朝顔に改造を依頼して使い続けています。明るく能天気な性格で、太陽の生活をサポートし、CFCの活動も手助けします。彼女も『NEO』でヒロインに昇格しました。

その他、生徒会メンバーの春咲かすみ、野原花音、クラス担任の藤袴環、ルームメイトの柳竹光などが物語に関わります。

世界観と用語

本作は、21世紀半ばを想定した近未来が舞台です。

エコプラーザ市：物語の主要な舞台となる、関東南部の川中島に建設された環境モデル都市。通信企業グループ「スマートグループ」の技術試験都市であり、最先端の通信技術が導入されています。市の中央には巨大な電波塔「ユナイティツリー」がそびえ、ネットワークやシステムを管理しています。
オルカ（ORCA）：エコプラーザ市民が携帯を義務付けられているカード型デバイス。身分証明、電子決済、コミュニケーションなど生活全般に不可欠な機能を持ちます。市内ではユナイティツリーからの無線送電により、バッテリー切れの心配がありません。
SR（エスアール）：AR（拡張現実）を発展させたバーチャルスクリーン技術。耳に装着する「SRユニット」から脳に電気刺激を与え、視覚や聴覚に直接情報を伝達します。空間にウィンドウが浮かんでいるように見え、プライベートまたは共有での利用が可能です。利用中はユニットがロックされ、外すことはできません。
誠進学園：太陽たちが通う全寮制の学園。スマートグループが出資しており、エコプラーザ市同様、最先端技術が導入されています。オルカで生徒情報が一元管理され、学内ネットワーク「ハートリンク」を通じて連絡や課題提出が行われます。ハートリンクでは、生徒の行動に対してポイントが付与・減点されるシステムも存在します。
ココロファンクション：オルカに自動的にインストールされてしまう謎のアプリ。通常のアプリでは不可能な高機能を有し、所有者の心理状態や能力に影響を与えます。削除や停止はできず、SRユニットを外すこともできないため、実質的に強制起動状態となります。ハートリンクのポイントを使うことでバージョンアップさせ、制御可能になる可能性が示唆されています。

主題歌

オープニングテーマ「ココロルート」（歌：榊原ゆい） - 本編、NEO共通
メインテーマ「ユレルサイクル」（歌：西沢はぐみ） - 本編
メインテーマ「ミライサーキット」（歌：Ceui） - NEO

制作スタッフ

企画はなたけ氏とYow氏。シナリオはなたけ氏、高嶋栄二氏、八璃氏、そして『NEO』からは御剣ヒロ氏が参加。キャラクターデザイン・原画を基井あゆむ氏、ひなたもも氏、むー氏、SD原画を田口まこと氏が担当しました。音楽はTWOFIVEが手掛けています。Yow氏はディレクターとプロデューサーを兼任しました。

反響

販売実績を見ると、『ココロ@ファンクション!』は発売月（2013年10月）にPCpress、Getchu.com、BugBug、PUSH!!といった主要な集計で3位または4位にランクインし、前作『この大空に、翼をひろげて』の高い評価を受けて順調なセールスを見せました。年間集計ではGetchu.comで24位となりました。ファンディスク『NEO』（2014年11月発売）も、発売月に主要集計で7位から11位に登場しています。

人気投票では、『ココロ@ファンクション!』がGetchu.comの発売月ユーザー人気投票で1位を獲得。年間人気投票でも、Getchu.comで全部門18位、ムービー部門6位、キャラクター部門では速水朝顔が8位に入賞しました。

専門誌『BugBug』2014年1月号に掲載されたレビューでは、本作は前作に比べてテンポが良く、ギャグシーンも多用されるため気軽に楽しめる点が評価されました。特に、近未来の科学技術を応用したエッチシーンは本作の大きな特徴として取り上げられています。SR技術を活用し、現実ではありえないような公共の場所を背景にしたシチュエーションや、立体映像による男性器の複製といった描写は「面白い」と肯定的に評価され、エッチシーンの数も多く、それぞれのシーンも長いことから、プレイヤーは十分満足できるだろうと述べられています。また、個人的に妹・朝顔ルートが最も良かったとされ、彼女の魅力的なキャラクターデザインに加え、引きこもりからの脱却という兄妹ならではの温かい展開と、ココロファンクションの謎に迫る物語の深みが評価されています。

ココロ@ファンクション!