コサックギツネ

コサックギツネ (Vulpes corsac)

コサックギツネは、ネコ目イヌ科キツネ属に分類される動物です。名前の由来は、ロシア語で本種を指す「コルサック(Корсак)」からきています。コサックという言葉自体に意味はありません。

分布

コサックギツネは、中央アジアを中心とした広範囲に分布しています。具体的には、アフガニスタン北部、イラン北部、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、中国北部、トルクメニスタン、モンゴル、ロシア南部などが挙げられます。

形態

コサックギツネは、体長が47.5 - 65cm、尾長が25 - 35cm、体重が2.25kg程度です。全身は柔らかい体毛で覆われており、背面の毛衣は灰赤褐色、腹面の毛衣は白や黄色みを帯びています。尾の先端は黒や暗褐色をしています。体臭はあまり強くありません。

耳は基部が幅広く、先端が尖っているのが特徴です。また、四肢はやや長めです。

分類

コサックギツネには、いくつかの亜種が存在するとされています。2005年現在では、以下の3亜種に分ける説があります。

Vulpes corsac corsac (Linnaeus, 1768)
Vulpes corsac kalmykorum Ognev, 1935
Vulpes corsac turkmenicus* Ognev, 1935

ただし、種内での包括的な遺伝的解析はまだ行われていません。

生態

コサックギツネは、主にステップや半砂漠といった環境に生息しています。モンゴルでの観察例では、2.2 - 9.7平方キロメートル（平均6.5平方キロメートル）の行動圏で生活していることがわかっています。

キツネ属の中では社会性が強い種類で、巣穴が近接した場所に集まって集合地を形成したり、1つの巣穴で複数匹が共同生活することがあります。夜行性ですが、昼間に活動することもあります。跳躍力が高く、時には木に登ることもあります。

巣穴は自分で掘ることもありますが、アカギツネやアナグマ、マーモットなどが使用していた古巣を利用することも多いです。モンゴルでは、巣穴の64%がシベリアマーモットの古巣だったという報告があります。

食性は雑食性で、哺乳類（齧歯類、ウサギ科、ナキウサギ科、ハリネズミ科）、鳥類やその卵、昆虫、植物質など、様々なものを食べます。特に、獲物となるネズミの生息数とコサックギツネの生息数は比例関係にあり、ネズミが多い年には食料を貯蔵することもあります。

繁殖形態は胎生で、1 - 3月に交尾を行います。妊娠期間は50 - 60日程度で、1回に2 - 6匹の幼獣を産みます。まれに1回で11匹の幼獣を産むこともあるようです。

人間との関係

コサックギツネは、毛皮が利用されることがあり、生息地の大部分で狩猟の対象となっています。しかし、毛皮目的の乱獲や、道路建設、宅地開発、採掘、放牧などによる生息地の破壊によって、生息数の減少が懸念されています。また、一部の地域では、古巣を提供してくれるマーモットの減少に伴い、コサックギツネの生息数も減少しています。

コサックギツネの保護のためには、生息地の保全や狩猟の規制など、様々な対策が必要です。

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