コシノカンアオイ

コシノカンアオイの概要

コシノカンアオイ（越の寒葵、学名: Asarum megacalyx）はウマノスズクサ科に属する常緑の多年草です。主に日本海側に分布しており、特に新潟県に多く見られます。この植物は、特徴的な葉と花形状を持ち、地中に匍匐する根茎を持つことで知られています。

特徴

コシノカンアオイの根茎は、暗紫色で少し太く短い形状をしており、地面を這うように生育します。根茎の節間は通常短いのですが、まれに1.5センチメートルほど伸びることもあります。葉は茎の先端から伸びる葉柄の上に位置し、葉柄の長さは最大で20センチメートルに達することがあります。葉自体はやや厚みがあり、卵状広楕円形または卵状ほこ形で、長さ9-12センチメートル、幅6-8センチメートルに成長します。葉の先端は鋭く、基部は心形の特徴があります。葉の表面は暗緑色で光沢が無く、短い毛が分布しており、裏面は淡色で葉脈が紫色を帯びています。

花は通常3月から5月にかけて咲きます。茎先には暗紫色または淡紫色の花が1個つき、特徴的な萼裂片が花弁のように見えます。萼筒は太く、長さは15-20ミリメートル、直径は14-24ミリメートルになります。内壁には格子状の隆起があり、縦襞と横襞が存在します。また、雄蕊は外側を向いており、子房は上位的位置にあり、花柱は直立する独特な形状をしています。

分布と生息環境

コシノカンアオイは日本の固有種であり、本州の日本海側、特に新潟県、秋田県、山形県、福島県、長野県の低地から山地にかけて分布しています。主に落葉広葉樹林の林下で見られ、特に多雪地域に適しています。

前川由己による研究では、新潟県においてコシノカンアオイとユキグニカンアオイの分布が調査されており、両種の地理的な隔たりが述べられています。この地域では新発田小出構造線を境に、コシノカンアオイが西側に、ユキグニカンアオイが東側に分布していることが確認されています。

名前の由来

和名である「コシノカンアオイ」は、その発見地である新潟県の古名「越後国」に由来しています。また、種名の「megacalyx」は「大きな萼」を意味します。この植物の原標本は新潟県村上市の筥堅八幡宮社叢で採集されました。

保全状況

コシノカンアオイは、環境省のレッドリストでは準絶滅危惧（NT）に分類されています。これにより、今後の生息環境の保護が求められています。

結論

コシノカンアオイはその美しい花と独特の生息環境から、多くの人に親しまれています。また、ギフチョウの幼虫の食草としての重要性も持っており、その自然環境の一部を成しています。今後の研究や保護活動が期待される植物の一つです。

もう一度検索