ウマノスズクサ科

ウマノスズクサ科とは

ウマノスズクサ科（Aristolochiaceae）は、コショウ目に属する植物の科であり、かつてはウマノスズクサ目に分類されていました。熱帯地域に多く分布し、温帯地域にも見られます。世界には約600種が存在し、日本ではウマノスズクサ属とカンアオイ属が自生しています。

特徴

ウマノスズクサ科の花は、3数性を示す両性花で、多くの場合花弁を持たず、萼が筒状、ラッパ状、または細長い管状に合生しています。おしべは6本または12本が多く、子房は下位または半下位です。

分類

ウマノスズクサ科は、以下の4つの亜科に分類されます。

ウマノスズクサ亜科 (Aristolochioideae): ウマノスズクサ属、Thottea属などが含まれます。
カンアオイ亜科 (Asaroideae): カンアオイ属（フタバアオイ属）、サルマ属などが含まれます。カンアオイ属は、フタバアオイ属、ウスバサイシン属に分割されることもあります。
ラクトリス亜科 (Lactoridoideae): ラクトリス属のみが含まれます。
ヒドノラ亜科 (Hydnoroideae): ヒドノラ属、Prosopanche属などが含まれます。かつては独立した科として扱われていましたが、系統関係からウマノスズクサ科に統合されました。

日本に自生する主な属

ウマノスズクサ属: ウマノスズクサ、オオバウマノスズクサ、アリマウマノスズクサなど。
カンアオイ属: カンアオイ、フタバアオイ、ウスバサイシンなど。

これらの属は、花や葉の形状などによって区別されます。

利用

ウマノスズクサ科の植物は、精油を含むため、漢方薬やヨーロッパのハーブ、民間薬として利用されることもありました。しかし、多くのアリストロキア酸を含有しており、この成分は腎毒性や発がん性があるため、薬害が問題になっています。そのため、使用には十分な注意が必要です。

系統関係

APG III においては、ラクトリス科やヒドノラ科とされていたグループが、側系統を解消するためにウマノスズクサ科に統合されました。これにより、より包括的な分類体系が確立されました。

関連する生物

ウマノスズクサ科の植物は、ジャコウアゲハやギフチョウなどのチョウの幼虫の食草として知られています。

注意点

ウマノスズクサ科の植物には、有毒成分が含まれているため、安易な利用は避けるべきです。特にアリストロキア酸は、健康に重大な影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

参考資料

The Angiosperm Phylogeny Group (2016). “An update of the Angiosperm Phylogeny Group classification for the orders and families of floweringplants: APG IV”. Botanical Journal of the Linnean Society 181 (1): 1–20.
Murata, Jin. (2006) "Aristolochiaceae", Flora of Japan Volume IIa, K. Iwatsuki et.al. (ed.), KODANSHA, 2006, pp.366-387.
佐竹義輔・籾山泰一 「ウマノスズクサ科」 『日本の野生植物 草本 II 離弁花類』 佐竹義輔ら編集、平凡社、1982、102-109頁
菅原敬 「ウマノスズクサ科」『朝日百科 植物の世界9 種子植物　双子葉類9 単子葉類1』岩槻邦男ら監修、朝日新聞社、1997年、34-47頁。

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