コシヒカリBL

コシヒカリBLについて

コシヒカリBL（コシヒカリビーエル）は、いもち病に対する抵抗性を持つように改良された「コシヒカリ」を親とする新しい品種群です。この品種群は、科学的にはもちろんのこと、種苗法上でも正式に「コシヒカリ」とは異なる品種とされます。BLとは、「いもち病抵抗性系統」（Blast resistance Lines）の略であり、連続して戻し交配を行うことによって育種され、遺伝子を導入していますが、遺伝子組み換えではありません。

コシヒカリBLの数種類を混合して栽培すると、コシヒカリIL（Isogenic Lines）と呼ばれ、この特性は新潟県をはじめとする地域での生産に活かされています。2005年度から、新潟県ではコシヒカリ新潟BLの4品種を混合栽培したコシヒカリILが、農産物検査法に基づき「産地品種銘柄：新潟県産コシヒカリ」「品種名：コシヒカリBL」として出荷されています。精米の段階では、JAS法に従い「品種名：コシヒカリ」として販売されるため、消費者は実際のところ、コシヒカリBLと従来のコシヒカリを区別することは難しい状況です。

品種の多様性

コシヒカリBLは、他の品種と同様に、さまざまな系統が存在し、これらはそれぞれ異なる抵抗性遺伝子を持っています。そのため、病気に対する耐性が強化されており、栽培においては、別々の遺伝子を含む多品種の組み合わせを活用し、栽培年次ごとに比率を変えることで、いもち病菌の進化や流行を防ぐ工夫がされています。具体的には、コシヒカリBLの品種には、コシヒカリ新潟BL1号や新潟早生など、多くの登録済み品種があり、それぞれ異なる親品種を持つことでも知られています。

味の評価

農林水産省や新潟県、育種に関わる専門家によれば、コシヒカリBLは、いもち病抵抗性を除く品種特性について、実用面では従来のコシヒカリとほぼ同等とされており、モニター調査でも約8割の人々が従来のコシヒカリと比べて美味しさが変わらない、あるいはむしろ美味しいと評しています。また、日本穀物検定協会による食味ランキングでも、同じ「特A」に認定されています。

新潟県の状況

新潟県では2005年以降、主要な作付けがコシヒカリBLに移行しており、他県産のコシヒカリを偽装する問題が発生するといった事態も見られます。新潟産のコシヒカリはその高価格から、他産地の米の偽装が問題視され、農家のみが販売できるコシヒカリBLの種籾を用いることで、DNA型鑑定によって他県産との識別が可能となる施策が取られました。

まとめ

コシヒカリBLは、コシヒカリの優れた特性を引き継ぎつつ、病気に対する抵抗性を強化した米であり、これにより農業生産者や消費者に新たな価値を提供しています。これからもこの課題に取り組むことで、地域の農業と消費文化が持続可能で豊かなものとなることでしょう。

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