コジマ・KE007

コジマ・KE007: 日本初のF1挑戦

コジマ・KE007（Kojima KE007）は、1976年に日本で開催されたフォーミュラ1世界選手権イン・ジャパンに初めて参戦した国産F1カーです。この車両は、コジマエンジニアリングが設計・製造し、歴史に名を刻む重要な存在となりました。

概要

コジマエンジニアリングは、日本国内でレース活動を行っていたコンストラクターであり、FL500やFJ1300、F2000といったカテゴリーに参加していました。その中で、日本初のF1レースに挑むためにKE007の開発を決定しました。この名前は、コジマエンジニアリングの7作目のマシンであることを示しています。設計は小野昌朗が担当し、製作は解良喜久雄、空力設計は由良拓也が行いました。

KE007の開発に当たっては、高速コースに特化した設計がなされました。特に、富士スピードウェイでのパフォーマンスを重視し、トップスピードを追求するマシンに仕上げました。目指すは優勝であり、海外進出の足がかりとなるような結果を期待していました。

シャーシとデザイン

シャーシはアルミ製のバスタブ式モノコックで、軽量化のためにチタンやマグネシウムが使用されています。そのため、車両重量は575kgの規定に近い578kgに抑えられていました。サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアが4リンク構成であり、信頼性の高い仕様になっています。また、ガス室分離式のダンパーを採用することで、走行性能を向上させる工夫も施されていました。

エンジンとパフォーマンス

KE007のエンジンには、フォード・コスワース・DFVエンジンが搭載され、ヒューランド製の5速ギアボックスを組み合わせる形で、1970年代のF1スタンダードに則った性能を持ち合わせていました。エンジン出力は465psに達し、最高のパフォーマンスを発揮することが期待されていました。コジマはこのセットアップにより、富士スピードウェイにおいて優れたスピードを維持しようと試みました。

フィルムとレースの歴史

初めての出走となる1976年のF1世界選手権イン・ジャパンでは、コジマ・KE007は予選で素晴らしいタイムを記録しました。川田選手が駆るこのマシンは、全体の4番手タイムを出し注目を集めました。しかし、クラッシュを経験し、決勝に向けた修復作業が行われました。サポートを受けたチームメンバーの努力により、なんとか復帰を果たし、レースを完走しました。

次世代のモデルKE009へと進化を遂げていく中で、KE007はその歴史的な役割を全うすることとなります。このマシンはその後も多くのファンに愛され、様々なイベントで展示され続けています。

保存と復元

KE007は、長い間行方不明となっていましたが、1997年に発見されました。その後、約6年をかけて修復され、2004年にはイギリスで行われたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで一般公開されました。これにより、コジマ・KE007の名は再びファンの心に残ることとなったのです。

まとめ

このように、コジマ・KE007は挑戦的な精神と高い技術力が結実した国産F1マシンとして、今もなお自動車競技の歴史にひとつの光を放っています。初めてのF1挑戦は、多くのドラマと感動を生み出し、今後も語り継がれていくでしょう。

もう一度検索