小野昌朗

小野 昌朗（おの まさお）

小野昌朗氏は、1947年7月17日に兵庫県で生まれた著名なレーシングカーデザイナーであり、株式会社ピューズの代表取締役を務め、また東京アールアンドデーの名誉会長でもあります。自動車に対する情熱は大学時代から始まり、その後、彼は日本のモータースポーツ界において多大な影響を与えてきました。

初期のキャリア

彼は1966年に東京工業大学の機械工学科に入学し、自動車部に参加。大学の文化祭ではレーシングカーを手がけました。1968年末、エバカーズでエバ2Aカンナムのサスペンション設計に携わり、正式に1969年にエバカーズに入社。その後、フリーランスの設計者となり、東京技研やマナ、パシフィックレーシングなどで近代的なレーシングカーの設計を行いました。

1972年にはシグマオートモーティブ（現在はサード）に加わり、シグマ・GC73やシグマ・MC73など、多くの注目を集めるマシンの設計を手掛けました。1973年にはル・マン24時間レースでシグマMC73マツダが出場し、小野氏もその遠征に参加。残念ながら、マシンは予選で14位に留まり、決勝ではリタイアを余儀なくされました。

F1の道

1973年の秋、小野氏はマキF1チームに参加し、マキ・F101のシャシー設計を行います。彼は1974年と1975年にF1世界選手権に出場し、特に1975年においては日本のプライベートF1チームとして初めての挑戦となりました。チームは予選で苦戦しましたが、特にノンタイトル戦のスイスGPでは予選通過を果たす成果を上げました。

その後、1976年にはコジマエンジニアリングに移り、F1マシンであるコジマ・KE007を設計。1976年の日本GPでは“幻のポールポジション”や“奇跡の修復”と称される様々なエピソードを残し、豪雨の中で11位で完走しました。

童夢とその後のキャリア

1978年末にコジマエンジニアリングを離れた後、童夢に参加し、特にル・マン24時間レース用の童夢・零RLや零RL-80において重要な役割を果たしました。特に零RL-80は1980年のル・マンで日本製マシンとして初めて完走を達成するなど、記憶に残る成果を上げました。

1981年には株式会社東京アールアンドデーに参加し、技術担当取締役に就任。電気自動車の開発にもいち早く関与し、環境対応車普及方策検討会の委員も務めました。2011年には合弁会社「株式会社stEVe」を設立し、改造型EVの開発に取り組むなど、先駆的な技術開発に寄与しています。

1991年に東京アールアンドデーの代表取締役社長に就任し、2015年にその職を退いた後も現職に就き、今もなお活躍を続けています。小野氏のキャリアは、ただのレーシングカーデザイナーに留まらず、モータースポーツ界や電気自動車の発展に寄与する多様な分野での貢献を表しています。

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