コッカリル 90mm低圧砲

コッカリル 90mm低圧砲

コッカリル 90mm低圧砲（英語: Cockerill 90 mm low-pressure gun）は、ベルギーのCMI社によって開発された砲で、主に戦車砲や車載歩兵砲として使用されます。この砲は、小型・軽量の軍用車両の運用に特化しており、搭載される装甲戦闘車両の重量は約7トンから20トン程度です。

来歴

1974年、CMI社は新しい90mm砲の開発に着手しました。当時、主流の戦車砲は105mmやそれ以上の口径に移行していたため、この91mm砲は主力戦車よりも軽量な車両で使用されるための設計が行われました。この砲は高低圧理論を活用し、低反動を実現しています。砲弾は、MECARやロイヤル・オードナンス、GIAT社などから供給されます。

最初のモデルであるMk.1から始まり、Mk.2では後座長が300mmから500mmに延長され、改善された駐退復座機が採用されました。さらにMk.3では、リコッキング機能付きの閉鎖機がつけられ、反動の軽減も行われています。このMk.1からMk.3砲まで、砲身は特殊なエレクトロスラグ再溶解法（ESR）で製造されています。通常、3段式の砲口制退器が使われていますが、Mk.3 MA1では単段式が採用されています。

Mk.3とCM90砲塔システム

コッカリルMk.3 90mm砲は、装甲戦闘車両向けに設計されています。この砲はCM90砲塔システムに搭載されて販売されており、その後改良されたCSE90での使用にも適しています。Mk.3 90mm砲は約2,300門が生産され、合理的なコストで信頼性を確保しながら性能を向上させています。

CM90砲塔は2名の乗員で操縦可能で、同軸には7.62mm機銃、OIP射撃統制システム、及びキャデラック・ゲージ・テキストロンの安定化システムを備えています。防弾性能はSTANAG 4569規格に基づき、需要に応じた強化が可能です。

Mk.8の登場

コッカリル Mk.8 90mm砲は、さらに大型の10トンから20トン級装甲戦闘車両に搭載されることを目的に設計されています。1990年代初頭に試作が行われ、1996年にはクウェート軍に採用されました。Mk.8はMk.3に比べて砲腔内圧が高められ、砲身の長さも増加しており、これにより従来の105mm戦車砲に匹敵する高い対戦車能力を誇ります。

LCTS90砲塔システムが搭載されており、このシステムには昼間用と熱線暗視機能が備わったサイト、弾道計算コンピュータが付属しています。砲弾は37発を搭載可能で、自己防護のための発煙弾発射機も装備されています。レーザー光線警戒装置をオプションで追加することで、レーザー照射に対して煙幕を展開する自動システムも導入されています。

採用国

コッカリル 90mm低圧砲は、以下の国で採用されています。

• - クウェート
• - カタール
• - サウジアラビア
• - ベルギー

この砲の設計は、多様な戦闘環境における運用の柔軟性を提供し、特に軽量車両にも対応できるため、幅広い用途が期待されています。

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