コッチェビ

コッチェビとは

コッチェビ（朝: 꽃제비）は、朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮において孤児や浮浪児を指す言葉です。この用語は公式には受け入れられておらず、国の出版物や記録には出てくることはありません。コッチェビは、路上生活を送る孤児たちだけでなく、職や家庭を失った人々を指す場合もあります。

背景

この言葉が特に知られるようになったのは、1990年代後半の「苦難の行軍」と呼ばれる大飢饉による経済の厳しさからです。この時期、北朝鮮では配給制がほぼ停止し、国民が食糧を得ることが非常に困難になりました。その結果、多くの家庭が崩壊し、孤児たちが路上に放置される事態が発生しました。これがコッチェビの急増につながったのです。

コッチェビたちは、主に「チャンマダン」と呼ばれる違法市場や主要駅の周辺に集まります。彼らはグループを作り、資源を得るためにビニール袋や空き缶を集め、物乞いをしながら日銭を稼ぎます。彼らの生活は長年にわたり完全に放置されており、北朝鮮政府からの支援は極めて限られていました。

児童収容キャンプの設立

1995年、北朝鮮政府は「全国の浮浪者の生活を安定させる」との名目で「児童収容キャンプ」を設立しましたが、実際には劣悪な集合住宅に過ぎませんでした。収容された子どもたちは栄養失調に陥り、そこで亡くなる者も多くいました。コッチェビたちは食糧を求めるあまり、乞食やスリを行うようになり、そのためにさらに危険な生活を送ることとなります。

コッチェビの日常

コッチェビの子どもたちは、1日1食という厳しい食事制限の中で生活しています。彼らの主な食事は、物乞いで得た食べ物や草のスープ、野生の野菜のお粥などです。日本の報道でも、ドブの泥水を飲もうとする少女や兵士の残した食べ物を拾って食べる少年、拾ったクルミの殻を舐める少女の姿が紹介されています。

しかし、最近の金正恩政権下では状況に変化が見られるとの報道もあります。金正日政権以来の農業政策の見直しや市場取引の拡大により、食糧事情は改善傾向にあると言われています。そのため、餓死者や路上生活を強いられる子どもの数は減少しているとのことです。このような変化は、コッチェビたちの生活にも希望の光を見せるものとなるでしょう。

参考文献

• - 高英起『コチェビよ、脱北の河を渡れ』新潮社（2012年）
• - 安哲兄弟 著『コッチェビの叫び 秘密カメラが覗いた北朝鮮』ザ・マサダ（1999年）
• - 蓮池薫『拉致と決断』新潮社（2012年）

コッチェビという存在は、北朝鮮の厳しい現実を反映しており、国際社会の関心が高まる中で、その状況が改善されることを願います。

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