コトゥジッツの戦い

コトゥジッツの戦い：プロイセン躍進の礎

コトゥジッツの戦い（1742年 5月17日）は、オーストリア継承戦争におけるプロイセンとオーストリアの重要な会戦であり、プロイセン軍の勝利に終わりました。この戦いは、フリードリヒ大王の軍事的才能を初めて示す機会となり、後のプロイセンの隆盛を支える一戦となりました。

戦いの背景

1742年春、プロイセン軍は当初メーレンで作戦を展開していましたが、これを断念し、ベーメン北東部に撤退しました。兵を休ませ、本国からの増援を受け戦力を再編。フリードリヒ大王は当初、エルベ川沿いに防衛線を構築し、プラハのフランス軍との連携を維持しようと考えていました。しかし、フランス軍との連携がうまくいかず、ザクセンが戦線から離脱したため、単独講和の道を探り始めます。

一方、オーストリア軍を率いるカール公子とケーニヒスエッグは、メーレンを奪還した後、北西に進軍しプロイセン軍とプラハの連絡を遮断し、東からプラハを攻撃する計画を立てました。ザクセン軍の撤退により、サザワ川に防衛戦力が存在しなくなったため、オーストリア軍は難なく進軍。先行するフザール部隊はエルベ川に到達し、プロイセン軍の中継基地を脅かしました。

大王はオーストリア軍の動きを見て、プラハとの連絡維持のため、決戦に踏み切ることを決意。プロイセン軍はクルディムに集結しました。オーストリア軍のフザールがコリーンの橋を占領したとの報告を受け、大王は敵より先にクッテンベルクを占領し、エルベ川南岸からオーストリア軍を排除する必要があると考えました。5月15日、全軍の約3分の1にあたる1万の兵を率いてクルディムを出発、残りの主力部隊は若デッサウが指揮し、補給部隊とともに大王の後を追いました。

戦闘の経過

クッテンベルクへ向かう途中、大王はポードホーツァンの丘から、ヴィリモウにオーストリア軍の部隊を発見します。大王は、この部隊をロプコヴィッツの部隊だと考え、若デッサウにヴィンターフェルトを送り、チャスラウへ向かわせました。大王は防御態勢を取り、奇襲に備えさせました。

しかし、実際には、この部隊はカール公子率いるオーストリア軍の前衛でした。カール公子軍は予想以上に早く西進しており、モルヴィッツの戦いの時とは異なり、十分に編成された軍を率いていました。カール公子はプロイセン軍を発見すると攻撃を望みましたが、若デッサウ率いるより強力な軍が近くにいることを認識していませんでした。

5月16日、大王はロプコヴィッツが東へ去ったと考え、若デッサウにチャスラウへ向かい、クッテンベルクから大王軍と連絡を取りつつ、オーストリア軍の進路を阻止するよう命じました。若デッサウは命令を受け、大王軍の後を追ってポードホーツァンに到達。敵の軽歩兵を砲撃で追い払いましたが、すぐにカール公子軍本隊を発見しました。若デッサウは、優勢な敵軍を前に危険を感じ、大王に合流を要請するとともに、チャスラウへの進軍を諦め、北のコトゥジッツへ向かいました。

5月17日早朝、カール公子軍はチャスラウに到着し、クッテンベルクへ向かうため町を通過中、若デッサウの警戒部隊と遭遇し交戦。オーストリア軍は若デッサウ軍の位置を把握していなかったため、不意を突かれましたが、態勢を立て直しコトゥジッツへ向けて進軍を開始しました。

戦闘の展開

午前5時、ノイホフに集結した大王軍はコトゥジッツへ向けて強行軍を開始。若デッサウは丘の上からオーストリア軍が接近してくるのを確認し、防御陣地を構築しました。コトゥジッツ周辺の地形を利用し、池を右翼端、ブルシュレンカ川を左翼端と定め、丘の上に重砲を配置、歩兵戦列を形成しました。若デッサウは配置を大王に報告し、大王軍は戦場に到着後、若デッサウ軍の後方に第二戦列を形成することにしました。

午前7時半頃、大王軍が戦場に到着し、戦列に加わりました。大王は戦場を視察し、接近してくるオーストリア軍の様子を偵察しました。

プロイセン軍の勝利

戦いは激戦となり、両軍は激しくぶつかり合いました。プロイセン軍は騎兵突撃を敢行しましたが、オーストリア軍の反撃に遭い、苦戦を強いられました。コトゥジッツ村を巡る攻防も激化し、村は炎に包まれました。

しかし、午前10時半頃、大王率いる歩兵部隊がオーストリア軍の左翼側面を突きました。この奇襲により、オーストリア軍は態勢を崩し、プロイセン軍の猛攻の前に崩壊しました。若デッサウも総反撃を命じ、二方向からの攻撃により、オーストリア軍は総崩れとなり撤退を開始しました。

戦いの結果と影響

コトゥジッツの戦いは、プロイセン軍の勝利に終わりました。フリードリヒ大王はこの勝利により、オーストリアに講和を迫ることが可能になると見込みました。大王は若デッサウを元帥に昇進させ、その功績を称えました。一方、敗北したオーストリア軍は、プロイセン軍との対峙を諦め、南へ撤退しました。

この戦いは、フリードリヒ大王の軍事的才能が初めて試された戦いであり、プロイセン軍の騎兵の改善を示すものでもありました。また、この勝利がきっかけとなり、プロイセンとオーストリアはブレスラウ条約を締結し、第一次シュレージエン戦争は終結しました。プロイセンはシュレージエンを獲得し、ヨーロッパにおける地位を確立することに成功しました。

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