コニチ

コニチ：オルダ・ウルスの第四代当主

コニチ（Qoniči）は、13世紀後半に活躍したジョチ・ウルスの人物で、オルダ・ウルスの当主を務めました。彼の生涯は、モンゴル帝国の分裂と再編の時代を反映しており、中央アジアの政治情勢に深く関わっていました。

生い立ちと当主就任

コニチは、オルダ・ウルスの創始者オルダの長子サルタクタイの息子として生まれました。オルダ・ウルスは、チンギス・カンの息子ジョチを始祖とするジョチ・ウルスの左翼に位置し、中央アジアに広大な領土を有していました。コニチが当主になった時期は明確ではありませんが、1260年代前半にはその地位にあったと考えられています。

カイドゥとの連携と大元ウルスとの対立

コニチが当主となった頃、モンゴル帝国は帝位継承戦争によって分裂状態にありました。コニチは、中央アジアで勢力を拡大していたオゴデイ家のカイドゥを支援し、大元ウルスと対立しました。カイドゥは、クビライが率いる大元ウルスに対抗し、モンゴル帝国の旧体制の復興を目指していました。コニチは、カイドゥによる大元ウルスへの攻撃に協力し、モンケ家のウルン・タシュに属するバアリン部のノヤンを攻撃しました。しかし、シリギの乱と呼ばれる事件で、カイドゥの援助が期待外れに終わり、コニチの立場も微妙なものとなりました。

大元ウルスとの関係改善

1280年、ジョチ・ウルスの当主モンケ・テムルが亡くなると、コニチはジョチ家の首脳として、トダ・モンケを新たな当主に推戴しました。この際、ジョチ・ウルス全体としてカイドゥ・ウルスと敵対し、大元ウルスと友好関係を築くことが決定されました。コニチ自身も、親クビライの姿勢を明確にし、大元ウルスとの交流を開始しました。1288年には、クビライから銀や錦衣を贈られ、翌年にはカラコルムから食料が輸送されるなど、友好的な関係を築きました。この背景には、カイドゥ・ウルスの勢力拡大によってジョチ家の中央アジアにおける権益が脅かされるようになったという事情がありました。

晩年と死

コニチの正確な没年は不明ですが、1295年頃までは存命していたと考えられています。『集史』によれば、彼は非常に肥満体であり、そのために晩年は苦労したようです。伝えられるところによると、彼は肥満が原因で窒息死したとされています。

オルダ王家

コニチは、オルダ王家の一員として、オルダ・ウルスの発展に貢献しました。彼の子孫は、その後もオルダ・ウルスを統治し、中央アジアの歴史に名を残しました。

ジョチ太子
オルダ
サルタクタイ
コニチ
* バヤン

まとめ

コニチは、オルダ・ウルスの当主として、モンゴル帝国の分裂と再編の時代を生き抜きました。彼は、カイドゥとの連携や大元ウルスとの関係改善など、複雑な政治情勢の中で巧みな外交手腕を発揮しました。彼の生涯は、中央アジアの歴史における重要な一章として、記憶されるべきでしょう。

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