シリギの乱

シリギの乱

シリギの乱（シリギのらん）は、1276年から1282年の間に、トルイ系の王たちであるシリギやトク・テムルが、当時の大元ウルスの皇帝クビライに対して起こした反乱です。この叛乱は、クビライの迅速な対応と、叛乱側の内部対立によって早期に鎮圧されましたが、その影響は大きく、中央アジアにおける大元ウルスの威信の低下とカイドゥ・ウルスの拡大をもたらしました。

背景

帝位継承戦争の影響

シリギの乱の根本的な原因は、1259年のモンケ・カアンの死に始まります。モンケの死後、彼の弟クビライとアリクブケの間で帝位継承を巡る戦争が勃発しました。クビライは、帝国の左翼部からの支持を受け、アリクブケ派と戦いました。最終的にクビライが勝利し、トルイ系の王たちに対しても寛大な処遇をして復帰を認めましたが、彼らの間に残った反発心が叛乱の引き金となったのです。

カイドゥの反抗

アリクブケの降伏後数年、オゴデイ家のカイドゥはクビライに対抗し、オルダ・ウルスの当主コニチと連携を図ります。クビライは、ジョチ・ウルスやチャガタイ・ウルスに討伐を依頼し、自らの子ノムガンを派遣する3つの対策を講じました。しかし、ノムガンの派遣に際して、以前のアリクブケ派の王たちが中心にいたため、彼らの裏切りが叛乱の発端となりました。

叛乱の経過

アルマリクでの勃発

ノムガン軍がアルマリクに駐留中、トク・テムルがシリギと共謀し、ノムガンを捕らえることを企てます。1276年、彼らはノムガンを奇襲し捕虜にすることに成功し、これがシリギの乱の始まりとなりました。叛乱軍は、クビライの政策やモンゴルの伝統文化が無視されていることを批判し、自らの正当性を訴えて、叛乱に参加する諸王を募ります。

ケルレン河の戦いとジルワダイの反乱

叛乱軍は進軍し、ケルレン河流域での戦闘を繰り広げます。一方、クビライはキプチャク軍団を派遣し、彼らの拡大を阻止しようとします。同時期、コンギラト部のジルワダイも叛乱に呼応し、自らの兄を捕虜にして行動を起こしました。

オルホン河の戦い

北方からの攻勢が続き、最終的にオルホン河の大戦に突入します。ここで叛乱軍はクビライの軍に対して大敗し、その後も内部紛争を抱え、徐々に力を失っていきます。

乱の終結とその影響

叛乱軍は体制を立て直そうと試みますが、内部のもめごとが続き、最終的には1292年にサルバンとヨブクルによって終息します。この乱は単に一時的な争乱ではなく、カイドゥ・ウルスの台頭やモンゴル内の権力構造の変化を引き起こしました。結果的に、帝位継承問題は長引き、中央アジア情勢を揺るがす要因となっていきました。

シリギの乱は、その後のモンゴル史においても非常に重要な転換点となり、カイドゥ・ウルスの地位を確立させ、その後の権力闘争にも影響を与えたと言えるでしょう。

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