コニーズ・イン

コニーズ・インの歴史

コニーズ・イン (Connie's Inn)は、ニューヨークのハーレム地区に位置するナイトクラブで、1923年に開業しました。創業者のコニー・イママン（本名コンラッド・イママン）と彼の兄弟たち、ジョージとルイの三人が共同で経営を行っていました。彼らはラトビアから移民としてアメリカに渡り、ハーレムでデリカテッセンを運営していました。また、密造酒の取り扱いを通じて財を成しました。

コニーズ・インは、開業から1934年まで存在したナイトクラブで、7番街2221番地と131丁目の角に位置していました。このクラブでは、当時の一流アーティストたちが出演していました。ルイ・アームストロング、ファッツ・ウォーラー、ウィルバー・スウェットマン、ペッグ・レッグ・ベイツ、ブリックトップ、フレッチャー・ヘンダーソンなどがその一例です。

他の多くのナイトクラブが入店客を白人に限定する中、コニーズ・インはアフリカ系アメリカ人のアーティストたちに舞台を提供し、多様な客層を迎え入れていました。そのため、ジーグフェルド・フォリーズのメンバーや、富豪であるガートルード・ヴァンダービルト・ホイットニーといった多くの著名人が訪れ、ダウンタウンから足を運ぶ場所となりました。コニーズ・インでのショーは、その後ブロードウェイに移籍する際に多大な影響を与えました。

ナイトクラブの最盛期には、レナード・ハーパーが専属プロデューサーとして活躍しており、質の高いエンターテインメントを提供していました。1930年代前半になると、イママン兄弟はコニーズ・インをダウンタウンに移転します。新たに再開した場所でも彼らは注目のレビューを続け、特にビリー・ホリデイ主演のミュージカル『Stars Over Broadway』は、その名作の一つとして語り継がれています。興味深いことに、ホリデイが病気により休演した際には、ベッシー・スミスが臨時に代役を務めるなど、才能あるミュージシャンたちが舞台に立っていました。

しかしながら、世界恐慌の影響により、コニーズ・インは閉店に追い込まれざるを得なくなりました。イママン兄弟はそれぞれ異なる道を歩むことになります。後に、ハーレムの店舗はクラブ・ウバンギ (Club Ubangi) として再開され、グラディス・ベントリーやコメディアンのジャッキー・メイブリー（後のマムス・メイブリー）といった、同性愛者や両性愛者の著名なパフォーマーたちが舞台を彩りました。

コニーズ・インは、音楽とエンターテインメントの歴史において特別な地位を占め、多様性と創造性を追求する場として、多くの人々に愛されました。それは単なる夜の演奏場所ではなく、当時の文化や社会の重要な一部であり、今でもその名を知られる存在です。

もう一度検索