コバー

コバー遺跡の魅力と歴史

コバー（別名：コバ、スペイン語：Cobá）は、メキシコのキンタナ・ロー州北部に位置する大規模なマヤ遺跡であり、世界遺産には登録されていないため、日本での認知度はあまり高くありません。歴史をさかのぼると、この場所は古典期から後古典期にかけて、マヤ文明の栄華を象徴する重要な都市の一つでした。本記事では、コバーの概要、歴史、交易、観光などについて詳しくご紹介します。

概要

コバーは、ユカタン半島の名所であるチチェン・イツァから東へ約60km、カリブ海沿いのトゥルムから北西に約44kmの位置にあります。この場所には最盛期に5万人を超える人々が約80km²にわたって居住していたと考えられています。多くの建造物はジャングルの中に点在し、石と漆喰で建設された16本以上の道路（サクベ）によって結ばれていました。この道は、中央から周囲に放射状に広がっており、東はカリブ海、西は100km離れたヤシュナにまで続いています。

建物のデザインは、同じくマヤ遺跡であるチチェン・イツァやウシュマルとは異なり、グアテマラのペテン地方の影響をより強く受けている点が特徴的です。ユカタン半島の地盤は石灰岩で形成されており、周りには河川や湖がほとんど存在しないため、複数のラグーンやセノーテから水を得ていました。

歴史

コバーは、古典期から後古典期にかけて繁栄しました。1世紀頃までに農業が発展し、人口の増加が見られ、多くの建物が建てられました。特に紀元500年から900年の間に多くの建築物が製作されたと言われています。スペイン人が到来した16世紀まで、新しい建物が次々に建てられ、古いものは修復され続けました。

人口のピークは紀元800年から1000年頃とされており、その後、周囲のマヤ域内の諸国との争いや農地の劣化に起因する人口減少が見られました。また、スペイン人による征服の際には、外部から持ち込まれた天然痘によって大きな影響を受けました。

交易

コバーは、周囲の国々との貿易が盛んでした。特に、カリブ海沿岸の港町、トゥルム、シカレ、シェルハ、タンカーなどを通じて、現代のベリーズやホンジュラスにあたる南方の国々との関係が深かったです。

ノホック・ムル・ピラミッド

コバーの最大の建物であるノホック・ムルは、高さ42mのピラミッドで、エル・ミラドール（72m）、ティカル（51m）、カラクムル（45m）などのマヤ遺跡の中でも特に高い建物です。このピラミッドはウシュマル（35m）やチチェン・イツァ（24m）よりも高く、ユカタン半島では最も目立つ建造物と言えるでしょう。観光客は、頂上まで登ることができ、当時の支配者が見たであろうジャングルの壮大な地平線を眺めることができます。

調査と発掘

コバーは、スペイン人による征服後、長い間ジャングルの奥深くに取り残されていました。1841年にジョン・ロイド・スティーヴンズが初めて存在に気づきましたが、当時はアクセスが難しく、調査は遅れることになりました。その後、1893年には写真家テオベルト・マーラーが短期間探検し、資料を残しました。1926年2月、アマチュア探検家トーマス・ガンがマヤ族のハンターたちの助けを借りてコバーを訪れ、初の詳細な記述を発表しました。この後、エリック・トンプソンによる調査が続き、多くの考古学的な発見がありました。

1970年代には、舗装された道路が開通し、訪問者がぐっと増えるようになりました。特に1970年頃にカンクンがリゾート地として発展して以降、中日帰りの観光地として知られるようになり、1972年以降は本格的な発掘も行われるようになりました。

現在のコバー

現在でも定期的な修復作業が進められていますが、多くの歴史的建造物は未だジャングルの奥に残されています。今後さらなる発掘が期待されます。

観光地としてのコバー

カンクンからベリーズを結ぶ美しい海岸線は「リビエラ・マヤ」と呼ばれ、多くのリゾートホテルが進出しています。これにより、訪問する観光客も増加傾向にあり、特にノホック・ムル・ピラミッドへの登頂は最大の人気を誇っています。現段階では登ることに制限は設けられていませんが、今後の規制の可能性には留意が必要です。

基本情報

• - 開園時間: 8:00-17:00
• - 入場料金: 大人（13-60歳）48ペソ
• - アクセス: 村には数件の宿泊施設や飲食店があります。

コバー村には約1100人の住民が暮らし、スペイン語やマヤ語を使っています。近隣には舗装されていない道が続き、伝統的なマヤ文化が息づいています。夜には住民が社交を楽しむ姿も見られ、環境は悪くないと言えるでしょう。

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