コヒマ

コヒマ（Kohima）

インド北東部のナガランド州に位置するコヒマは、同州の州都であり、ミャンマーとの国境地帯に近接しています。地理的には、同じナガランド州内のコヒマ県に属しており、ディマプル、モコクチュンと並び、州内で市の地位を持つ三つの中心都市の一つです。2001年時点での人口は8万人とされています。この地域の主要な住民は、インド北東部や隣国ミャンマーを起源とするモンゴロイド系のナガ族であり、特にアンガミ・ナガ部族が多く暮らしています。日本では、コヒマを通るインド国道39号線が、第二次世界大戦中の悲惨な出来事から「白骨街道」という名でも知られています。

歴史

イギリスの統治

19世紀前半、コヒマを含むこの地域はビルマからの侵攻を受ける時期がありましたが、イギリス軍がビルマ軍を撃退し、周辺のアッサム地方を掌握するにつれて、コヒマもイギリスの統治下に入りました。かつてナガ族には部族間の抗争が頻繁に起こり、捕虜に対する首狩りの風習も存在しましたが、イギリス政府による禁令や、宣教師によるキリスト教の布教活動によって、これらの習慣は次第に収束していきました。現在ではキリスト教が広く受け入れられていますが、古来からのアニミズム信仰も一部で継承されています。

インパール作戦における激戦

1944年、第二次世界大戦中の日本軍によるインパール作戦の一環として、南方のインパール攻略と並行してコヒマへの進攻が試みられました。佐藤幸徳中将率いる日本陸軍第31師団は、実際にコヒマを一時的に制圧しています。しかし、連合軍の抵抗は極めて頑強であり、さらにインパール方面への連合軍の強力な反撃が成功し、戦線が崩壊するという状況に陥りました。牟田口廉也中将は佐藤師団長に対しあくまでコヒマでの死守を命じましたが、佐藤中将はこの命令に反発し、独断でビルマ方面への撤退を決行しました。このインパール作戦の敗北は、東南アジアにおける戦局の大きな転換点となり、ビルマ軍の反乱などを招き、この方面での日本軍の優位性は失われる結果となりました。コヒマでの白兵戦は双方に甚大な被害をもたらし、日本軍はインドの平野部へ進出するための重要な高地を確保することができませんでした。「テニスコートの戦い」として知られるコヒマの激戦地、特にギャリソン・ヒル周辺の斜面には、現在、これらの戦闘で命を落としたイギリス連邦諸国出身者を含む連合軍兵士のための大規模な共同墓地が整備されています。

民族構成と居住形態

コヒマの主要な先住民族は、ナガ族を構成する多様な部族、特にアンガミ・ナガ部族やレングマ・ナガ部族です。コヒマの市街地は高い尾根の上に築かれており、これはナガ族の伝統的な居住形態に共通する特徴です。コヒマもまた、周囲の山々の尾根筋に沿って市街地が広がっています。現在では、ナガランド州各地からの移住が進み、市街地にはナガ族の全23部族すべての人々が暮らしていますが、依然として多数派を占めるのは、古くからこの地に住むアンガミ部族、近隣から移ってきたロタ・ナガ部族、そして比較的早く近代文明を取り入れたアオ・ナガ部族です。

都市の名称とその由来

コヒマという名称は、山腹に自生する「Kew Hi」という植物に由来しています。「Kew Hi Ma」は、アンガミ語で「Kew Hi の花が咲く地」を意味し、「Ma」はこの地域の土着民族であるアンガミ族の言葉で「場所」や「土地」を示す言葉です。歴史的には、コヒマは初期には「ティゴマ（Thigoma）」という名でも知られていました。

都市圏の広がりと文化

現在のコヒマ都市圏（グレーター・コヒマ）は、コヒマ市中心部と、その北東部に位置するコヒマ・ビレッジ、さらにジョトソマにあるコヒマ科学大学地区を含む広がりを持っています。コヒマ・ビレッジは「バラ・バスティ（大きな村）」とも呼ばれ、アジアでも最大級の村落の一つとされています。グレーター・コヒマ全体の人口は約9万3千人（時期による変動あり）で、ナガランド州内ではディマプル都市圏に次ぐ規模を誇る第二位の都市圏です。コヒマ市内にはナガランド州立博物館があり、ナガ族の豊かな文化遺産、歴史、自然に関する展示が行われています。ここには、門柱、彫刻、伝統的な宝飾品、儀式に使われたドラムといった文化的な遺物や、インド北東部の山地に生息する鳥類や動物の剥製などが収蔵・展示されており、地域の文化や歴史を学ぶ上で重要な施設となっています。

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