コベストロ

コベストロ：素材化学をリードするグローバル企業

コベストロ社は、ポリウレタン原料やポリカーボネートといった高機能素材を世界に供給する、ドイツを拠点とする大手化学メーカーです。ノルトライン＝ヴェストファーレン州レーヴァークーゼンに本社を置き、グローバルに約30カ国に生産拠点を展開するその規模は、世界的な素材化学業界における存在感を示しています。

バイエルからの独立と成長

コベストロ社の歴史は、バイエル社のマテリアルサイエンス事業に遡ります。バイエル社は20世紀初頭からプラスチック化学事業を展開しており、1953年にはポリカーボネートの開発に成功、1950年代には工業用ポリウレタンの生産を拡大しました。2000年にはLyondell Chemical Co.からポリオール事業を買収、世界最大のポリウレタン製造メーカーへと成長を遂げます。その後、バイエル社は事業再編を進め、2004年に素材部門をBayer MaterialScience AGとして独立させました。中国上海への工場拡張やドイツ国内での新工場建設など積極的な投資を行い、事業拡大を続けました。

2015年、Bayer MaterialScience AGはバイエル社から独立し、コベストロ社として新たなスタートを切りました。社名は「Collaboration」「Invest」「Strong」を組み合わせた造語で、その名に込められた企業理念は、協調性、投資、強靭さを象徴しています。同年10月にはフランクフルト証券取引所に上場を果たし、グローバル企業としての地位を確立しました。バイエル社はその後、保有するコベストロ社の株式を段階的に売却し、2017年には保有比率が4分の1以下に減少しています。

主力製品と事業展開

コベストロ社の主力製品はポリウレタン原料とポリカーボネートです。これらの素材は、自動車、建築、電子機器など幅広い産業分野で不可欠な材料として活用されています。さらに、コーティング塗料や接着剤、その他特殊化学製品も取り扱っており、多様なニーズに対応する製品ポートフォリオを構築しています。

アブダビ国営石油会社による買収

2024年10月には、アブダビ国営石油会社がコベストロ社を買収することで合意しました。買収額は147億ユーロ（約2兆3千億円）にのぼり、素材化学業界における歴史的な出来事となりました。この買収は、コベストロ社の更なる発展に大きな影響を与えるものと予想されます。

日本における事業展開

日本においても、コベストロ社は重要な事業拠点を持っています。コベストロジャパン株式会社は、ポリカーボネートの輸入・販売を行うとともに、日本におけるコベストログループの持株会社としての役割を担っています。製品は自動車、建築、電子機器など幅広く利用されています。東京と兵庫県尼崎市に拠点を持ち、日本市場への対応を強化しています。

さらに、住友化学工業との合弁会社である住化コベストロウレタン株式会社は、ポリウレタン原料の製造・販売および研究開発を行い、兵庫県尼崎市と愛媛県新居浜市に拠点を置いています。また、DICとの合弁会社であるディーアイシーコベストロポリマー株式会社は、熱可塑性ポリウレタン樹脂の専業メーカーとして東京と大阪、堺市に拠点を展開しています。

これらの日本法人を通じて、コベストロ社は日本の産業の発展に貢献しています。今後も、革新的な素材を提供することで、日本の産業を支えていくでしょう。

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