コペンハーゲン国立美術館

コペンハーゲン国立美術館（Statens Museum for Kunst）は、デンマークの首都コペンハーゲンにある国立美術館です。その起源は、デンマーク王室のコレクション保管庫である「驚異の部屋」（Kunstkammeret）に遡ります。

1750年頃、王室コレクションの管理人であったゲルハルト・モレルが、国王フレデリク5世に絵画コレクションの分離を提案しました。当時、ヨーロッパの他の王室に劣らないコレクションを築くため、イタリア、オランダ、ドイツなどから大規模な絵画の買い付けが行われました。この結果、フランドルやオランダ美術のコレクションが特に充実し、モレルの時代にはアンドレア・マンテーニャの「贖い主としてのキリスト」といった重要な作品が収蔵されました。当初、王の画廊はクリスチャンスボー城に置かれていましたが、1884年の火災で焼失し、1896年に現在の美術館が開館するまで、コレクションは一時的に居場所を失いました。

開館後もコレクションの拡充は続き、特に19世紀にはデンマークの画家たちの作品が精力的に収集されました。これにより、美術館はデンマーク黄金時代の作品の比類ないコレクションを誇るようになりました。1754年にデンマーク王立美術院が開設されたことも、国内で高品質な絵画作品が制作される背景となりました。

近年では、寄贈や長期貸借によってコレクションがさらに拡充されています。1928年には、ヨハネス・ランプによって、フランスのモダニズム初期の作品群が大規模に寄贈され、その後もフランスの伝統的な絵画や彫刻が積極的に購入されています。

主な所蔵作品

美術館のコレクションは、幅広い時代と地域をカバーしており、以下のような重要な作品が含まれています。

『贖い主としてのキリスト』：アンドレア・マンテーニャ（1488-1500）
『若い女性の肖像』：ルーカス・クラナッハ
『Abbed Yrsselius』：ピーテル・パウル・ルーベンス（1624）
『エウダミダスの遺書』：ニコラ・プッサン（1644-1648）
『マティス夫人の肖像』：アンリ・マティス（1905）
『Self-Portrait in a Striped T-shirt』：アンリ・マティス（1906）
『Le Luxe II』：アンリ・マティス（1907-08）
『クレスチャンスボー宮殿の眺め』：ヴィルヘルム・ハンマースホイ（1907）
『La Femme au Cheval (Woman with a horse)』：ジャン・メッツァンジェ（1911-12）

ギャラリー

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参考文献

『芸術新潮』第67巻第11号、新潮社、2016年11月。

外部リンク

* Official Website(デンマーク語、英語)

コペンハーゲン国立美術館は、その歴史的背景と充実したコレクションによって、デンマークを代表する美術館の一つとして、多くの人々に愛されています。

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