コマイ

コマイ（氷下魚）

コマイ（学名: Eleginus gracilis）は、タラ科に属する魚の一種で、英語では「Saffron cod」と呼ばれています。この魚は、日本近海に生息しており、特に冷たい海域に多く見られることから、別名「寒海」とも称されています。コマイは、マダラやスケトウダラと並ぶ日本の代表的なタラ類のひとつです。

名称の由来

コマイは体長によって名称が変わります。幼魚の場合は「ゴタッペ」、成魚の際は「コマイ」、さらには「オオマイ」と呼ばれることもあります。熟字訓としての「氷下魚」という名前は、特に厳冬期に氷を割って漁獲する際の「氷下待ち網漁」に由来しています。また、アイヌ語では「コマイ（komay）」や「カンカイ（kankay）」と呼ばれ、ニヴフ語では「カンギ（qaηi）」とされ、ロシア語では「навага（ナヴァワ）」または「вахня（ヴァフニャ）」と呼ばれています。

生息地域と分布

コマイは、北太平洋の黄海、日本海、オホーツク海、ベーリング海に分布しています。その生息域は、水深200メートルよりも浅い地域で、特に日本では、北海道の沿岸を始め、青森県から山口県にかけての日本海沿岸及び、青森県から宮城県の太平洋沿岸地域にも見られます。また、北海道では特に多く漁獲されています。

形態と生態

コマイは、最大で全長55センチメートル、体重1,300グラムに達することがあります。特徴的には、3基の背鰭と2基の臀鰭を有しており、下顎が短く、上顎が前に突き出ています。この形状から、マダラやスケトウダラと容易に区別できます。コマイは夜行性の習性があり、通常は群れを作りながら生活しています。食性としてはオキアミ類や多毛類を捕食します。

利用法

コマイの旬は、4～5月と9～12月の2回あります。日本では主に北海道で漁獲され、その多くは干物や魚肉練り製品として利用されます。干物として使用する場合には、特に小さめの個体が好まれます。干物の種類には、頭と内臓を取り除いたままのものや開いたものがありますが、時には生のコマイも市場に出回ります。

コマイの干物は、そのまま酒の肴として楽しむことができますが、軽くあぶってからマヨネーズや醤油、七味唐辛子などを添えるとさらに美味しいです。特に、金槌で叩いてから食べると食べやすいという特徴があります。ただし、コマイには特有の臭みがあるため、注意が必要です。大きなものは固く仕上がることが多く、その場合は皮や骨を除去してからよく噛んで食べると風味が引き立ちます。また、歯が弱い方は注意が必要で、身や骨が指先に刺さることがあるため、工夫が求められます。調理法としては、干物を一晩水に浸し、その後軽く沸騰させてから焼くと、味や匂いが和らぎ、食べやすくなります。この水には旨みが溶け出すため、味噌汁の出汁としても利用できます。

近年では、一夜干しや生干しのように加工され、より食べやすくなったコマイも販売されています。特に北海道のコンビニでは、調味料と一緒にパックされたコマイが販売されており、オンラインでの購入も可能です。コマイの多彩な利用法とその独特な風味は、食文化の中で重要な役割を果たしています。

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