コラ (楽器)

コラ（Kora）: 西アフリカの美しい音色のリュート型楽器

コラは西アフリカを起源とする独特な撥弦楽器で、主にセネガル、ガンビア、マリ、ギニア、そしてブルキナファソなどの国々で300年以上の間、受け継がれてきた豊かな歴史を有しています。その構造は長いネックと丸いヒョウタン製の胴体、さらに21本の弦から成り立っており、この楽器はハープやギターの原型とも見なされ、アフリカの民族楽器の中でも特に魅力的な音色を奏でます。

コラの構造と演奏方法

コラのボディは直径40〜50センチ程度のヒョウタンを半分に分けたもので、その断面には牛や山羊の皮がしっかりと張られています。この皮の素材は特に小型のコラで多く使用されることが一般的です。中央には直径5センチ、長さ120センチほどのネックが通り、両脇には握り棒が2本、ブリッジを支えるための補強棒も装着されています。

コラのブリッジは平らな板の形をしており、左右に切れ込みが入っていて、そこには右に10本、左に11本のナイロン弦が張られます。以前は皮紐が弦の材料として用いられていました。一般的な弦楽器では、弦はネックに平行に張られるのが普通ですが、コラの場合はネックに対して直角に分かれて張られる珍しい構造を持っています。現代ではネジ式の糸巻きが使われることもありますが、伝統的な方法では皮製の輪を使って弦を取り付けます。

演奏は通常、両手の親指と人差し指を使って弦をつまむことで行われます。これはギターのアルペジオを両手で同時に、しかも異なるパターンで演奏するようなもので、スムーズな演奏には高度な技術が求められます。また、叩き音を出すために握り棒を指で叩くこともあります。

グリオの役割

コラを演奏するのは、世襲の職業音楽家であるグリオ（griot、またはマンディンカ語でジャリ）です。グリオは楽器の演奏だけに留まらず、歴史上の英雄やさまざまな情報、家系の系譜、生活に必要な教訓などを音楽に乗せて人々に伝えます。文字がまだ存在しなかった時代には、彼らの役割は特に重要で、その知識の豊富さから王の側近に採用されることもありました。

人々はグリオに対して尊敬の念を抱いており、そのため彼らが使用する楽器は神聖視されています。実際、昔は一般の人々がグリオの楽器に触れることさえ許されなかったと伝えられています。今日でも、西アフリカの人々がグリオの楽器を手にすることはまれです。

グリオの楽器にはコラのほかにも、弦楽器のンゴニやボロン、太鼓のサバール、タバラ、また木琴の一種であるバラフォンなどが含まれます。各家系には特定の楽器があり、コラを演奏する家系はコラを、バラフォンを演奏する家系はバラフォンを代々受け継いでいく風習があります。在るべき音楽の文化を守り続けるグリオたちは、今もなおその重要な役割を果たしています。

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