コラード・ファビ

コラード・ファビ：カートからF1、そして実業家へ

コラード・ファビは、1961年イタリア・ミラノ生まれの元レーシングドライバーです。兄はF1ドライバーとして知られるテオ・ファビ。ファビ家はベビーパウダー製造業を営んでおり、父親はアマチュアレーサーとしてアバルトでレースに参加していました。

カートから始まる才能

コラードのレーシングキャリアは、兄のスキー大会への同行がきっかけでした。山中で退屈しのぎにゴーカートに乗ったことがきっかけで、父親からレーシングカートをプレゼントされ、12歳で本格的にカートレースを始めます。14歳でカートコンストラクター・ビレルと契約。1977年のFIA世界カート選手権では100ccシニアクラスで総合4位と高い実力を示しました。同選手権では、アンドレア・デ・チェザリス、ゲオルグ・ベロフ、クルト・ティームといった名ドライバーも上位に名を連ねていました。この頃には兄テオもレースに興味を持ち始め、ツーリングカーレースを経てフォーミュラ3に参戦しています。

フォーミュラカーへのステップアップ

18歳でフォーミュラカーへ進出。イタリアF3選手権で経験を積み、翌年にはヨーロッパF3選手権に参戦。ミケーレ・アルボレートをチームメイトに迎え、チャンピオン争いを展開。シーズン2勝を獲得し、ランキング3位という好成績を収めました。

ヨーロッパF2選手権制覇

1981年、ヨーロッパF2選手権に参戦。マーチチームの一員として活躍し、翌1982年には13戦中5勝を挙げ、最終戦で勝利を収めて見事シリーズチャンピオンに輝きました。ジョニー・チェコット、ティエリー・ブーツェン、ゲオルグ・ベロフ、ステファン・ヨハンソン、ジョナサン・パーマーといったF1予備軍の強豪ドライバーたちを抑えての優勝は、コラード・ファビの実力を証明するものとなりました。

F1挑戦と引退

1983年、オゼッラからF1デビュー。チームメイトはピエルカルロ・ギンザーニでした。資金難から、ファビは旧型マシンでレースに臨むことになり、予選落ちを繰り返すなど苦戦を強いられました。しかし、レースでは時折ギンザーニを上回る速さを見せる場面もありました。

1984年には兄テオの代役としてブラバムからF1に参戦。ダラスGPで7位入賞を果たしますが、これが最後のF1レースとなりました。同年、父親の急逝を受け、家業を継ぐためレーサーを引退し、経営者へと転身しました。1987年には国際F3000選手権にスポット参戦するなど、レーサーとしての情熱を一時的に燃やしましたが、その後は実業界で活躍しています。

まとめ

コラード・ファビは、カート時代からの類まれな才能と、F2チャンピオンという輝かしい実績を残したドライバーです。F1では思うような結果を残せませんでしたが、その短いF1キャリアと、その後の人生における決断は、彼の強い意志と責任感の表れといえるでしょう。兄テオとの兄弟関係、そしてレーサーから経営者への転身劇は、モータースポーツ史の中でも特筆すべきエピソードとなっています。彼のカートからF1、そして経営者への波乱に満ちた人生は、多くの人々にインスピレーションを与え続けています。

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