コロコロ創刊伝説

『コロコロ創刊伝説』は、のむらしんぼ先生が『コロコロアニキ』で連載している漫画作品です。

この作品は、単なる漫画ではありません。『月刊コロコロコミック』の創刊から黎明期を振り返る、熱いノンフィクション作品であり、のむら先生自身の波乱万丈な漫画家人生を重ね合わせた、自伝的な側面も持っています。

あらすじ

物語は、1980年代から1990年代にかけて『とどろけ!一番』『つるピカハゲ丸』といった大ヒット作を連発し、一世を風靡したのむらしんぼ先生が、2010年代後半に苦境に立たされるところから始まります。金銭苦や家庭崩壊に見舞われ、漫画家としての自信を失いかけていたのむら先生は、恩人である『コロコロ』創刊者・千葉和治氏の訃報に接し、『コロコロ』創刊時の熱い想いを次世代に伝えようと決意し、『コロコロ創刊伝説』の執筆を開始します。

物語は過去に遡り、1977年、大学生だったのむら先生が小学館から『コロコロ』での執筆を依頼される場面が描かれます。当時、児童漫画が衰退しつつある中、子供たちが本当に夢中になれる漫画雑誌を目指して創刊されたのが『コロコロ』でした。

『コロコロ』は、ゲームセンター、ファミコン、ミニ四駆など、時代ごとの子供たちのホビーを積極的に取り入れ、常に子供たちの心を掴んで離しませんでした。しかし、その道のりは決して平坦ではなく、競合誌との競争や、時代の変化による人気の陰りなど、様々な困難を乗り越えてきたのです。

登場人物

この作品に登場するのは、すべて実在の『コロコロ』関係者です。

のむら しんぼ: 主人公。平山隆氏に見出され、『コロコロ』で漫画家としてのキャリアをスタートさせます。七転八倒の漫画家人生を送る中で、再起をかけて本作の執筆に挑みます。
平山 隆: 『コロコロ』編集者。子供たちが夢中になるホビーにいち早く目をつけ、漫画に取り入れていきます。のむら先生の初代担当編集者として、厳しくも温かいサポートをします。後に『コロコロ』3代目編集長となります。
千葉 和治: 『コロコロ』初代編集長。同誌創刊の発案者であり、平山氏と共に創刊企画を立ち上げました。のむら先生にとって大恩人の一人です。
石井 宏一: 現在の『アニキ』での、のむら先生の担当編集者。のむら先生と共に二人三脚で本作の制作に取り組む一方で、先生の借金癖に頭を悩ませています。

作風とテーマ

本作は、のむら先生の『コロコロ』時代の編集者であった平山隆氏の証言をもとに、現在の担当編集者である石井宏一氏が裏付けを取り、のむらしんぼ先生が物語を構成しています。ノンフィクションでありながら、のむら先生ならではの『コロコロ』漫画としてのユーモラスなアレンジが加えられています。

『コロコロ』の歴史だけでなく、のむら先生自身の漫画家としての苦悩や挫折、私生活での困難も赤裸々に描かれており、人間ドラマとしての深みも持ち合わせています。のむら先生の私生活の描写は、担当編集者の石井宏一氏の提案によるもので、当初のむら先生は抵抗があったものの、平山隆氏の「恥を晒してこそ漫画家」という言葉に背中を押され、描写に至ったそうです。

また、本作には、かたおか徹治先生、すがやみつる先生、立石佳太先生、あさいもとゆき先生といった様々な漫画家や、高橋名人など、『コロコロ』に関わった多くの人々のエピソードが盛り込まれています。のむら先生は、同誌の漫画家たちと親交が深く、漫画家たちは本作での自分たちの登場を快く承諾したそうです。

社会的評価

『アニキ』創刊号に掲載された第1回作品は、読者アンケートで第2位を記録し、単行本もAmazon.co.jpで高評価を得るなど、読者からの支持を集めています。

また、『このマンガがすごい!』ウェブサイトの「ランキング オトコ編」で1位を獲得するなど、批評家からも高い評価を受けています。

この作品をきっかけに、のむら先生はテレビ番組やラジオ番組など、様々なメディアに出演し、その波瀾万丈な人生や漫画への情熱を語っています。

『コロコロ創刊伝説』は、『コロコロ』を愛したすべての人々、そして漫画を愛するすべての人々に贈る、笑いと感動が詰まった傑作です。

もう一度検索