コロチン文化

コロチン文化：5世紀から7世紀の東ヨーロッパに花開いたスラヴ文化

コロチン文化は、5世紀から7世紀にかけて、現在のウクライナ北部を中心とした地域に存在した文化です。プラハ・ペンコフ・コロチン文化複合の北東群に位置づけられ、スラヴ語派に属すると考えられています。この文化は、ドニエプル川上流域、特にキエフ周辺とその北側の広大な湿地帯に広がっており、かつてのキエフ文化圏と地理的にほぼ一致しています。

地理的特徴と社会構造

コロチン文化圏には、約100ほどの遺跡が確認されています。これらの遺跡から、コロチン文化が点在する小村から形成される社会であったことがわかります。典型的な集落は、数軒の小屋が集まって小さな村を形成しており、防御施設は見当たらず、開けた構造をしています。このことから、比較的平和な時代であったか、あるいは他の文化との友好的な関係が築かれていた可能性が考えられます。

埋葬様式と文化的影響

コロチン文化における埋葬形式は火葬です。これは、同時期の他のスラヴ文化圏でも見られる特徴です。また、河川名などの地名研究から、この地域がバルト語派の人々から強い文化的影響を受けていたことが示唆されています。コロチン文化は、南方から進出してきた人々が、この地の原住民と混淆・同化して形成されたと考えられています。原住民は、それ以前の時代にはザルビンツィ文化に属していたと推測されています。キエフ文化との地理的な一致から、彼らの一部はキエフ文化に属していた可能性も指摘されています。

言語的交流の可能性

もし原住民たちがバルト語派の言語を話していたか、あるいはスラヴ語派の言語であってもバルト語派の影響を強く受けた言語を話していたとすれば、コロチン文化においてはスラヴ語とバルト語の間での言語的交流が頻繁に行われていたと考えられます。このような言語間の接触は、文化の発展に大きな影響を与えた可能性があります。

コロチン文化は、その後の東スラヴ人の形成に重要な役割を果たしたと考えられています。コロチン文化の研究は、スラヴ民族の起源や移動、文化交流の様相を解明する上で、重要な手がかりとなります。

関連文化とのつながり

コロチン文化は、プラハ文化、ペンコフ文化といった他のスラヴ系文化と密接な関係があります。また、地理的に近いチェルニャコヴォ文化やザルビンツィ文化との関連も指摘されています。これらの文化との比較研究を通じて、コロチン文化の独自性や普遍性を明らかにすることができます。

参考文献

J. P. Mallory and D. Q. Adams, Encyclopedia of Indo-European Culture, Fitzroy Dearborn Publishers, London and Chicago, 1997.

関連項目

プラハ文化
ペンコフ文化
ロシアの歴史
ベラルーシの歴史
ウクライナの歴史
チェルニャコヴォ文化
ザルビンツィ文化
* 東スラヴ人

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