コロニア (古代ローマ)

古代ローマの植民都市「コロニア」とは

コロニア（ラテン語: Colonia または Colonia Romana）は、古代ローマにおける植民都市を指します。辺境の防衛と安定化、経済的・社会的目的のために、ローマ人が入植して建設されました。日本語では「植民市」と訳されることもあります。

コロニアの概要

コロニアは、共和政期から帝政期にかけて、ローマの威光を示すため、人口増加に対応するための移住先として、また退役軍人の職を確保し移住させる目的で設けられました。大きく分けて、ローマ市民が移住し市民権を保持し続ける「ローマ植民市」と、ローマ市民およびラテン人が移住するもののローマ市民権を持てない「ラテン植民市」の2種類が存在しました。

紀元前91年の同盟市戦争後、ルキウス・ユリウス・カエサルが制定したユリウス市民権法により、イタリアの自由民（ラテン市民権保有者）全てがローマ市民権を得たため、イタリアにおける両者の区別はなくなりました。コロニアの新設は、法、平民会議決、元老院議決によってのみ認められていました。

共和政ローマ期には都市の法的区分が数多く存在しましたが、帝政ローマになると自治市（自由市）、同盟市、植民市などの地位に集約されました。また、これらの範疇に入らない外国人の都市もありました。

自治市: ローマから自治を認められ、兵の駐屯や納税の義務が免除された事実上独立した都市。
同盟市: ローマと条約を結び、軍役・納税の義務を課された都市。自治市とは異なり、ローマ市民権は与えられませんでした。

これらの区分の中で、植民市は最も価値のある地位とされ、新設だけでなく自治市や同盟市から昇格する例もありました。しかし、逆に植民市が降格したり、都市が消滅することもあったようです。

コロニアの統治機構

イタリアや西方では、ローマの国制に倣い、一年任期の「公職者」、公職者を選挙する「民会」、「都市参事会」が置かれていました。公職者（政務官）は通常6名で、二人官（執政官）、按察官（造営官）2名、財務官2名という構成が一般的でした。公職者は法律や規則を定めるとともに、都市参事会を招集して議案を提案したり、議事の報告を受けました。都市参事会員は公職者経験者が充てられ、定員は数十名から百名程度でした。

ギリシアの都市が起源の場所では、アテネやスパルタの制度が存続している場合もあり、公職、民会（エレクシア）、評議会（ブレ）などが置かれていました。公職にはアルコン、将軍（ストラテゴス）、市場監督者（アゴラノモス）、書記、競技会長、体育場長などがありました。

古代ローマ初期のコロニア

歴史家リウィウスによれば、最初に造られたコロニアはローマから5km北のアンティムナエと21km北東のクルストゥメリウムで、紀元前752年のことだとされています。

その他、古代ローマ初期に造られたコロニアとしては、紀元前6世紀のシグニア（現 セーニ）、紀元前5世紀のウェリトラエ（現 ヴェッレトリ）やノルバ、紀元前4世紀のオスティアやアンティウム（現 アンツィオ）、タラキナ（現 テッラチーナ）などがあります。これらのコロニアは、ポエニ戦争が終結する頃まではローマ支配域の境界を防衛するための軍事基地としての役割が強かったようです。

コロニアにはローマ市民権を持った市民が暮らすものと、ラテン市民権を持った市民が暮らすものがあり、前者はローマに近い海岸線沿いの小さな町に多く、せいぜい300家族程度が暮らしていました。

ウェイイ併合からグラックス兄弟の改革前までの期間（紀元前393年から前134年まで）を、紀元前269年を境に前期と後期に分けてローマ植民市とラテン植民市の新設数と人口を比較すると、前期のラテン植民市は19箇所（約83,500人）、ローマ植民市は7箇所（約2,100人）。後期のラテン植民市は7箇所（約31,300人）、ローマ植民市は22箇所（約16,800人）となっています。ラテン植民市1箇所の人口平均は前期・後期ともに約3,500人、ローマ植民市1箇所は紀元前184年までは300人、それ以降は2000人の大規模植民が行われました。

コロニアの例

（具体的な都市名は省略）

関連項目

* 古代の植民都市

参考文献

（参考文献リストは省略）

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