ウェイイ

ウェイイ：古代エトルリアの都市、その繁栄とローマとの戦い

ウェイイ（Veii、Veius）は、現在のイタリア・ローマ県、ローマ市の北北西16kmに位置していた、古代エトルリア人の重要な都市です。イタリア語ではヴェイオ (Veio) と呼ばれ、現在のイソラ・ファルネーゼという集落付近にその遺跡を見ることができます。

ウェイイの歴史

ウェイイは、エトルリアの南端に位置する裕福な都市として栄えました。しかし、その歴史はローマとの長きにわたる戦争と対立の歴史でもありました。300年以上にわたり、共和政ローマとの間で戦争と同盟を繰り返しましたが、紀元前396年、マルクス・フリウス・カミルス率いるローマ軍によって陥落しました。

ローマの支配下に入った後もウェイイは存続し、リウィア・ドルシッラの邸宅も存在したと伝えられています。しかし、徐々にローマに同化され、ローマ帝国時代には Municipium Augustum Veiens と呼ばれるようになりました。ウェイイは彫刻で有名であり、ティベリウス像やApollo of Veiiなどが特に知られています。

ローマによる征服後、ウェイイは徐々に衰退し、中世になるまでに廃墟と化しました。そして、17世紀に古代史研究家 Raffaello Fabretti によって再発見されるまで、その存在は忘れ去られていました。

ウェイイの遺跡

ウェイイの遺跡からは、都市の遺構だけでなく、神殿と思われる遺構や、石工の跡のある墳丘墓や墓も見つかっています。1843年に発見された石室墓 Grotta Campana からは、現存する最古のエトルリア式フレスコが見つかっています。また、市内の丘に通じる長いトンネルも見つかっており、これはリウィウスがウェイイとの戦いでローマが勝利した要因として挙げた、トンネルを使った奇襲の証拠ではないかと考えられています。

城壁とPiazza d'Armi

ウェイイの都市は、イソラ・ファルネーゼの190ヘクタールの凝灰岩の高台に位置していました。高台は小川によって区切られ、天然の要害となっていました。ウェイイの城壁は、小川が合流する地点に築かれ、台地上を横切って三角形の領域を取り囲んでいました。現在でもその一部を見ることができます。

エトルリア人は高い場所に本拠地を構える傾向がありましたが、ウェイイもその例外ではありません。Piazza d'Armi（軍事広場）と呼ばれる考古遺跡が、その位置を今日に伝えています。

Ager Veientanus

ローマでは、都市国家の支配領域を ager と呼びました。ウェイイの場合、その領土は ager Veientanus と呼ばれ、テヴェレ川下流の右岸から海岸までの広い領域を指していました。これはエトルリア南部全体に相当する広さです。

ローマ人はウェイイが放棄された後、この領域に豪華なヴィッラを建設しました。エトルリア時代の ager Veiantanus には Silva Ciminia という古い森があり、ローマ人はこの森に迷信的な恐怖を抱いていたと伝えられています。

第二次世界大戦後、ローマの発展に伴い、ager Veiantanus も郊外開発の影響を受けるようになりました。1997年には、イタリア政府がこの地域の部分的保護に乗り出し、Veio Regional Natural Park を設定しました。

先史時代における都市の発展

ウェイイの発展は、台地上とその周辺の墓と集落の時代ごとの数から推定することができます。この地に人間が住み始めたのは、青銅器時代末の紀元前10世紀頃とされています。紀元前8世紀から7世紀にかけて人口が増加し、都市としての構造が見られるようになりました。これらの考古学的証拠から、紀元前10世紀から住み着いていたエトルリア人が、紀元前7世紀にウェイイという都市を形成していったと推測できます。

伝説と初期の歴史

ウェイイの伝説的歴史は、ローマと同様に紀元前8世紀に始まり、ローマの伝説とも深く関係しています。古代ローマの初代の王ロームルスの時代には、ウェイイとフィデナエはローマとの戦争に敗れています。プルタルコスの Life of Romulus には、ウェイイが裕福で大きな都市であったことが記されており、これはウェイイの考古学的証拠とも一致しています。

ウェイイは、古代エトルリアの重要な都市であり、その遺跡は今日でも多くの歴史的な情報を伝えています。ローマとの長きにわたる戦いの歴史や、都市の発展の様子を知ることで、古代の歴史に対する理解を深めることができるでしょう。

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