コングスベルグ・グループ

ノルウェー語ではKongberg Gruppen ASAとして知られるコングスベルグ・グループは、スカンジナビア半島北部に位置するノルウェーを本国とする、エンジニアリングを中核とする企業体です。主要な事業分野は、船舶や海洋関連のシステム、そして防衛および宇宙分野の機器の開発と製造であり、その本社はノルウェーのコングスベルグ市に置かれています。世界規模で事業を展開しており、活動範囲は30カ国以上に及びます。本グループはオスロ証券取引所に上場しており、ティッカーシンボルはKOGです。

歴史的背景

コングスベルグ・グループの起源は、ノルウェーがキール条約によって政治的に揺れ動いていた時代にさかのぼります。国家の安全保障体制強化が急務とされていた1814年3月20日、当時の摂政クリスチャン・フレデリクの認可を受けて設立されたコングスベルグ造兵廠（Kongsberg Vaabenfabrik）が前身です。当初はノルウェー軍向けにライフル銃の製造を開始し、19世紀を通じて生産量を拡大しました。特に、1888年にガンスミスであるエリック・ヨルゲンセンらが開発した「クラッグ・ヨルゲンセン・ライフル」の試作品が翌年にデンマーク軍に採用され、さらにその3年後にはアメリカ軍が装備を決定したことで、コングスベルグ造兵廠の製品は国際的な評価を得るに至りました。

第一次世界大戦終結後の1918年、同社は軍需分野に限らず多角化を進めます。自動車や船舶向けの部品製造、一般消費者向けのスパナなどの工具製造、さらには捕鯨銃の輸出で人気を集めました。しかし、1930年代に入り戦争の脅威が増すと、対空砲の生産に注力するようになります。第二次世界大戦中は、工場はナチス・ドイツの占領下に置かれるという困難な時期を経験しました。戦後、コングスベルグ造兵廠はノルウェー産業の復興において重要な役割を担う企業の一つに指定され、ノルウェー軍の近代化を支える技術パートナーとしての地位を確立しました。この時期に、短距離対艦ミサイル「ペンギン」や自律型水中艇「HUGIN」といった先進的な製品の開発に成功しています。

1970年代に入ると、コングスベルグ造兵廠は組織改編を行い、防衛機器、海洋石油開発・舶用機器、自動車部品など、各事業部門が分離されました。特に海洋石油開発・舶用機器の分野では、現在まで続く技術的な優位性を確立しましたが、全体の利益成長は鈍化しました。これを受け、それまで株式を全数保有していたノルウェー政府は、1987年に防衛部門を除く部門の株式売却を決定しました。1995年には現在の社名であるコングスベルグ・グループに変更し、1997年には事業構造を大きく再編し、防衛・宇宙分野を担う「コングスベルグ・ディフェンス＆エアロスペース」と、海事分野を担当する「コングスベルグ・マリタイム」の二大部門体制へと移行しました。2001年末からは、遠隔操作式ウェポンシステム「プロテクター RWS」の製造を開始し、アメリカ軍への採用実績を持っています。近年の動向としては、デジタル化のニーズに応えるため、2016年7月に新たな部門「コングスベルグ・デジタル」を設立しました。また、2019年4月にはロールス・ロイス・ホールディングスからコマーシャル・マリン事業を買収し、海事分野における事業基盤をさらに強化しています。

事業構成と地域別売上

現在のグループ全体の事業構成を見ると、部門別売上では、世界30カ国以上で展開するマリタイム（海事）部門が約50%を占め、次いで15カ国以上で事業を展開するディフェンス＆エアロスペース（防衛宇宙）部門が約40%となっています。ただし、ノルウェー国内や特にアメリカ合衆国では、防衛宇宙部門の売上比率が高い傾向にあります。コングスベルグ・デジタルを含むその他の部門が約10%を占めています。

地域別の売上では、ノルウェー国内が約20%、その他のヨーロッパ諸国が約30%、北米が約25%、そして日本を含むアジア地域が約20%となっています。

社会貢献活動

コングスベルグ・グループは、本社のあるコングスベルグ市で毎年開催される有名な音楽イベント、Kongsberg Jazz Festivalの主要なスポンサーを務めており、地域文化への貢献も行っています。

日本における展開

日本においては、2018年11月に100%出資の現地法人としてコングスベルグマリタイムジャパン株式会社（Kongsberg Maritime Japan Co Ltd.）が設立されました。神戸市にオフィスを構え、主に船舶・海洋システムに関連する製品の販売活動を行っています。

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