コンスタンティウス3世

コンスタンティウス3世は、西ローマ帝国の皇帝であり、その生涯は軍人としての活躍と、皇帝ホノリウスとの関係に彩られています。

生い立ちと軍歴

コンスタンティウス3世は、モエシアのナイススで生まれました。ホノリウス帝の下で、その軍事的な才能を開花させ、頭角を現していきます。彼は快活で愛想の良い人柄であり、宴席では役者の真似をして場を盛り上げるなど、人々を楽しませる一面も持っていたと伝えられています。

マギステル・ミリトゥムとして

411年、コンスタンティウスはマギステル・ミリトゥム（軍務長官）に任命され、ガリアに侵攻していた対立皇帝マクシムスの討伐を命じられます。彼はガリアに派遣され、ヒスパニアのローマ軍団が包囲していたアルルを奪還するため、マクシムスの将軍ゲロンティウスの軍を破りました。マクシムスを逃亡させた後、コンスタンティウスはアルルの包囲を引き継ぎ、コンスタンティヌス3世の将軍エドビカスを討ち、コンスタンティヌス3世を降伏させました。

西ゴート族との戦いと和平

415年には、西ゴート族の王アタウルフを兵糧攻めにしてガリアから撤退させ、翌416年には皇帝プリスクス・アッタルスを捕らえました。西ゴート族との和平交渉では、アラリックによるローマ略奪の際に連れ去られ、後にアタウルフの妻となっていたホノリウスの妹、ガッラ・プラキディアを返還させるという功績も挙げました。

皇帝への道

これらの功績により、ホノリウス帝はコンスタンティウスに多くの栄誉を与えました。彼は3度（414年、417年、420年）執政官に任命され、ホノリウス帝の妹であるガッラ・プラキディアとの婚姻が取り計らわれました。コンスタンティウスとガッラ・プラキディアの間には、後のウァレンティニアヌス3世と娘ユスタ・グラタ・ホノリアが生まれています。
421年2月8日、ホノリウス帝はついにコンスタンティウスを共同皇帝として宣言しました。しかし、東ローマ皇帝テオドシウス2世はコンスタンティウスの皇帝職就任を承認しませんでした。これに激怒したコンスタンティウスは、軍団を組織してコンスタンティノープルへ攻め込もうとしましたが、遠征の準備が整う前の421年9月2日に死去しました。その在位期間はわずか7ヶ月でした。

コンスタンティウス3世の死後、ガッラ・プラキディアは息子ウァレンティニアヌスを連れてコンスタンティノープルへ亡命し、後の西ローマ帝国の混乱を招くことになります。

関連人物

ホノリウス
テオドシウス2世
ウァレンティニアヌス3世
ガッラ・プラキディア

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