コンスタンティヌス3世

コンスタンティヌス3世：動乱の時代に現れた簒奪者

フラウィウス・クラウディウス・コンスタンティヌス（？ - 411年9月18日以前）は、407年にブリタンニアのローマ軍団によって擁立され、ローマ皇帝コンスタンティヌス3世を名乗った人物です。彼は帝位を巡る争いの渦中で、一時は共同皇帝として認められましたが、最終的には敗北し処刑されました。彼の短いながらも波乱に満ちた生涯は、西ローマ帝国の衰退を象徴する出来事として知られています。

簒奪に至るまで

5世紀初頭の西ローマ帝国は、内憂外患に苦しんでいました。405年から406年にかけてガリア地方は蛮族の侵入を受け、ローマ軍は防戦に苦慮していました。しかし、皇帝ホノリウスはラヴェンナの防衛を優先し、ガリアへの援軍を派遣しませんでした。ブリタンニア駐留のローマ軍団は、ホノリウスを無能と見なし、相次いで皇帝を擁立しました。マルクス、グラティアヌスと簒奪者は短期間で殺害され、407年、コンスタンティヌスが新たな皇帝として宣言されたのです。

皇帝として

コンスタンティヌスは即座に行動を開始しました。ブリタンニアの部隊を率いてブルターニュに上陸すると、ライン川の守りを固め、ガリアの秩序回復に努めました。その手腕はガリアだけでなく、ヒスパニアの軍団からも支持を集め、コンスタンティヌスはアルルを拠点としました。

しかし、ホノリウスはコンスタンティヌスを簒奪者とみなし、討伐を命じました。将軍スティリコは、ホノリウスの父テオドシウス1世の縁者を抱き込むことでコンスタンティヌスを挟撃しようと試みますが、コンスタンティヌスは先手を打ち、息子コンスタンス2世をヒスパニアに派遣し、テオドシウス一族を捕らえてコンスタンティノープルへ追放しました。

共同皇帝、そして没落

スティリコは将軍サルスを派遣しコンスタンティヌスを苦しめますが、政争に巻き込まれて処刑されてしまいます。戦況は膠着し、ホノリウスはコンスタンティヌスを共同皇帝として認めることで和睦を提案せざるを得ませんでした。409年、コンスタンティヌスは共同皇帝となり、正規執政官にも任命されました。しかし、この妥協はコンスタンティヌスにとって転落の始まりでした。

ヒスパニアの軍団はホノリウスとの講和に反発し、マクシムスを皇帝として独立しました。また、コンスタンティヌスが手薄にしたブリタンニアは、蛮族の襲撃を受け、支持者は追放されます。コンスタンティヌスはコンスタンス2世を共同皇帝に任命しヒスパニアへ派遣しますが、将軍ゲロンティウスの裏切りにあい敗北。411年、コンスタンティヌスは捕らえられ処刑されました。

その後

コンスタンティヌスの失脚後、ガリアではヨウィヌスが皇帝を名乗り、各地で内戦が勃発しました。コンスタンティヌスの拠点であったアルルは、マクシムスの軍勢に包囲されます。コンスタンティヌスは援軍を要請し籠城しますが、最終的にはホノリウスによって派遣されたコンスタンティウス3世によって降伏させられ、護送中にホノリウスの命により一族もろとも処刑されました。

伝承

コンスタンティヌス3世は、12世紀の偽史『ブリタニア列王史』において、アーサー王伝説に組み込まれ、ブリテン王コンスタンティン2世として登場します。コンスタンス、ヴォーティガーン、オーレリアン・アンブロジアス、ユーサー・ペンドラゴンの父とされ、ユーサーを通じてアーサー王の祖父にあたる人物として描かれています。

コンスタンティヌス3世の生涯は、西ローマ帝国の衰退期における権力闘争の激しさを物語っています。彼の簒奪と失脚は、帝国の不安定さを象徴する出来事として、歴史に刻まれています。

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