コンツァー・ブリュッケの戦い

コンツァー・ブリュッケの戦い：仏蘭戦争における帝国軍の勝利

コンツァー・ブリュッケの戦いは、1675年8月11日に仏蘭戦争の最中に、フランス王国と神聖ローマ帝国の間で繰り広げられました。この戦いは、帝国軍が勝利を収め、その後の戦局に大きな影響を与えることとなりました。

戦いの背景

1675年、名将ライモンド・モンテクッコリ率いる帝国軍と、テュレンヌ子爵が指揮するフランス軍は、フィリップスブルクとストラスブールの間を駆け引きし、互いにライン川を渡って先制攻撃を仕掛けようとしました。当初、テュレンヌは戦略的に優位に立ち、7月27日のザスバッハの戦いで優勢を築きましたが、不幸にも砲弾の直撃を受け戦死しました。

テュレンヌの死はフランス軍にとって大きな痛手となり、彼らはそれまでの優位を放棄し撤退を余儀なくされました。モンテクッコリは直ちに追撃を開始し、フランス軍をライン川の向こうまで押し戻し、ほぼヴォージュ山脈まで迫りました。

一方、ロレーヌ公シャルル4世率いる帝国軍は、テュレンヌが1673年秋に占拠していたトリーアを包囲していました。この包囲は、フランス軍にとって戦略的な脅威となり、コンツァー・ブリュッケの戦いの直接的な引き金となりました。

戦闘の経過

トリーア救援のため、フランソワ・ド・クレキ率いる1万5千人の兵と11門の大砲が派遣されました。しかし、クレキ軍はコンツにあるザール川の橋で帝国軍に阻止されました。

帝国軍は、グラナ侯爵オットーネ・エンリコ・デル・カレットに命じ、現在のグラナエーヘと呼ばれる山を占拠させました。さらに、軍の一部をコンツで渡河させ、別の部隊にはポンツーンを用いて渡河を敢行させました。帝国軍はフランス軍の陣営に攻撃を仕掛けましたが、3時間に及ぶ激しい戦闘は決着がつかず膠着状態に陥りました。

膠着状態を打開したのは、グラナ侯爵の巧みな戦術でした。彼は絶好のタイミングで右翼を率いて攻撃を仕掛け、フランス軍の戦線を崩壊させました。フランス軍は抵抗虚しく、全ての大砲と荷車を放棄して敗走しました。帝国軍は追撃の手を緩めず、フランス軍を50キロメートル以上も追撃しました。

戦いのその後

クレキは辛うじてトリーアにたどり着き指揮を執りましたが、状況は好転せず、9月9日にはついに降伏を余儀なくされました。コンツァー・ブリュッケの戦いの敗北は、トリーアの命運を決定づける結果となりました。

1892年、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世は、この戦いの戦場に「グラナデンクマール」という記念碑を建立しました。しかし、この記念碑はグラナ侯爵の功績を称えるだけでなく、ドイツ統一を記念する意味合いも込められていました。コンツァー・ブリュッケの戦いは、単なる局地的な戦闘にとどまらず、その後のドイツの歴史にも影響を与える出来事となりました。

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