コントラファゴット協奏曲 (アホ)

カレヴィ・アホの「コントラファゴット協奏曲」は、コントラファゴットという楽器の新たな可能性を切り開いた作品として知られています。この協奏曲は、2003年にワシントン・ナショナル交響楽団がアホの交響曲第9番を演奏した際、同団のコントラファゴット奏者であるレヴィス・リプニックが、トロンボーンの用法に感銘を受けたことがきっかけとなり、アホにコントラファゴットを独奏楽器とした協奏曲の作曲を依頼したことから生まれました。

作曲は2004年の夏に本格的に開始され、2005年2月に完成しました。この曲は、コントラファゴットという楽器の常識を覆すような超絶技巧を要求する作品として知られています。例えば、曲中には、ストラヴィンスキーの「春の祭典」冒頭のファゴットソロと同じ音域であるc2(C5)という、コントラファゴットの最高音域にあたる音が登場します。また、非常に早いパッセージが頻繁に登場するなど、演奏には高度な技術が求められます。この難易度の高さは、従来のコントラファゴットでは演奏が困難なレベルであり、作曲期間中にフォックス社が開発した新機構のコントラファゴットが必須となっています。この新機構のコントラファゴットは、ニューヨーク・フィルハーモニックのコントラファゴット奏者アーレン・ファストの監修の下で開発されました。

初演は、2006年2月23日にノルウェーのベルゲンにて、アンドルー・リットン指揮ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団、リプニックの独奏で行われました。その後も、フィンランドやアメリカなど、世界各地でリプニックの独奏により演奏されています。フィンランド初演は、2006年3月9日にペルッティ・ペッカネン指揮、トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団によって、アメリカ初演は2009年2月12日にレナード・スラットキン指揮、インターロッケン・アーツ・アカデミー・オーケストラによって行われました。

曲は全3楽章で構成されています。第一楽章の冒頭の旋律は、リプニックが気に入っていたアホの交響曲第4番の主題を元に作られています。アホ自身は、この曲全体を「本質的に交響曲的」であると述べています。各楽章の構成は以下の通りです。

第1楽章: Mesto
第2楽章: Presto
* 第3楽章: Misterioso

この協奏曲は、コントラファゴットという楽器の可能性を最大限に引き出した、作曲家アホの意欲作と言えるでしょう。演奏には高度な技術が求められますが、その分、聴衆にはコントラファゴットの新たな魅力が伝わる作品です。

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